金沢春友

金沢 春友について

金沢春友（かなざわ はるとも、1884年11月10日 - 1974年11月21日）は、福島県出身の著名な地方政治家であり、郷土史家としても知られています。彼は戦前に旧常豊村の村長を1期、戦後には塙町の町長を2期務めたことで地域の発展に寄与しました。また、郷土史の研究にも力を入れ、福島県南部に伝わる古文書の調査や、水戸天狗党の研究を通じて、多くの業績を残しました。

経歴

春友は福島県東白川郡の石井村に生まれ、名主の家柄に育ちました。彼は福島県立安積中学校（現在の福島県立安積高等学校の前身）で学びましたが、父の死去により1902年に中退し、家業の農業に従事しました。その後、常豊村に移り住んだ彼は、酒造業を立ち上げ、さらに発電所の建設にも関わるなど、地域の産業発展に貢献しました。

1925年、金沢は常豊村の村会議員に選出され、助役を経て、1937年11月14日から1941年6月30日までの間に村長を務めました。この期間中、彼は地域振興に尽力し、1934年には日本学術振興会の『日本経済史原典』の編纂に携わったことも知られています。

第二次世界大戦後の1948年、金沢は文部省内に設置された近世庶民史料調査委員会の嘱託となり、地元の古文書の調査に取り組みました。1950年からは福島県国宝及び重要美術品調査委員となり、1953年には県教育功労者としてその貢献が評価されました。他にも、1954年には文部省史料館の調査委員に選ばれ、教育と文化の発展に寄与しました。

1956年には塙町の町長に就任し、町の合併問題に取り組みましたが、紛糾した事務内容から1958年にはリコール運動が起きました。リコールは成立しないものの、1960年の町長選挙では対立候補に敗れ、町長の座を離れました。しかし、1964年の選挙で再度返り咲き、町長を再び務めましたが、1968年の選挙ではかつての助役に敗れ、再度退任しました。

郷土史家としての活動

地方政治の傍ら、金沢は1950年から1970年代にかけて郷土史に関する著書や編著を多数刊行しました。特に、田中愿蔵刑場跡の記念碑建立など、地域の歴史を顕彰する事業にも大いに貢献しました。彼の業績は、地域の文化の保存と向上に大きな影響を与えました。

彼は1963年に福島県文化功労賞を受賞し、また1967年には紺綬褒章、1970年には勲五等瑞宝章を受章し、その功績が広く認められました。

主な著書

金沢春友は、多くの著書を残しています。代表的な作品には以下があります。

• - 『水郡鉄道完成記念』(1934年)
• - 『水戸天狗党遺聞』(1955年)
• - 『農山村社会経済史』(1955年)
• - 『地方史行脚五十年』(1963年)
• - 『塙の特産・蒟蒻の由来』(1966年)
• - 『史実と巷説: 明治百年 前編・後編』(1968年、1969年)
• - 『黒風白雨九十年』(1973年)

これらの著書は、地域の歴史や文化に関する深い洞察を提供し、後世に多大な影響を与えています。金沢春友の業績は、政治的な活動のみならず、学術的な寄与においても、地域社会の発展に貢献したことを示しています。

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