金沢電気軌道ED1形電気機関車

金沢電気軌道ED1形電気機関車

金沢電気軌道ED1形電気機関車は、金沢電気軌道によって保有されていた電気機関車の一つであり、後に北陸鉄道金沢市内線を運営する母体となりました。この機関車は全長9.4メートル、重さ20トン級の凸型デザインを持ち、大型の乗務員室と多くの側窓を備えています。

機関車の概要

この電気機関車は、戦後の混乱期においても運用され続け、特に冬季の石川線での除雪に役立つ機器として知られています。ED1形は南海鉄道に似たデザインが特徴的で、独特な機体は南海型機関車の一例として希少価値があります。

関係する部品の交換や改造を経て、実質的には30トン級の性能を発揮するようになりました。特に、石川県下の鉄道網が戦時中に統合されたことにより、ED20形と改称され、長い歴史を有する存在となりました。

製造の経緯

金沢電気軌道は、1920年代初頭に市内電気軌道の建設を目的として設立されました。この時期、事業を拡大し、他の鉄道路線との合併や譲受を進めていきました。特に1929年には金名鉄道から路線を譲り受け、市内線と接続する重要な路線網を構築しました。

1930年代中盤、貨物需要に応じて自社に新たな電気機関車が必要とされ、金沢電気軌道は木南車輌製造にED1形を発注しました。1938年に竣工し、同社が所有した唯一の電気機関車となりました。

車両の設計と機能

ED1形は、運転室を中心に配置し、前後に機器室が設けられた凸型の独特なデザインです。運転台は中央に制御器を配置し、乗務員は横向きに座って操作を行う仕組みになっています。この設計は、運転中の視界を確保するのに貢献しています。

制御器はゼネラル・エレクトリック社製のK-38を採用しており、当初の構造から徐々に改良が施されました。また、主電動機には南海鉄道の余剰品が流用され、これによりコストを抑えつつ効率的な運用が可能となっていました。

運用とその変遷

1941年から1943年にかけて、ED1形は北陸合同電気に貸し出され、その後合併を経て運用を続けました。1949年の改番によりED20形ED201と名を変え、石川総線に配属されました。運用の中で電動機の交換や車体延長も行われ、性能が向上しました。

1976年まで貨物営業に利用され、その後は除雪機として位置づけられました。1986年には除雪作業の効率を高めるための改造も施され、以降も冬季における除雪作業に重要な役割を果たしました。

現在と保存の可能性

ED201は現在も石川線で運用されており、特に冬期の除雪活動に不可欠な存在となっています。今後の更新に伴い、能美市が譲り受けて辰口図書館近くに展示する方針が示されています。このような動きが、歴史的な遺産であるED201の保存と継承につながることが期待されています。

この機関車の存在は、電気機関車の変遷や地域の鉄道史を考える上で非常に貴重なものであり、多くの鉄道ファンに愛され続けています。

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