金甲山

金甲山（きんこうざん）

金甲山は、岡山県岡山市南区と玉野市に広がる山で、その標高は403.4メートルです。児島半島及び玉野市の最高峰として知られ、南側の展望台からは美しい瀬戸内海と香川県の四国を一望することができます。また、この地域は瀬戸内海国立公園の第2種特別地域に指定されています。

アクセスと観光の歴史

山頂へは岡山県道399号金甲山線を利用し、車でアクセスすることが可能です。かつて金甲山には展望台があり、そこにはレストハウスが併設されていたため、多くの観光客や自家用車、さらには路線バスや観光バスが訪れる人気のドライブコースとされていました。特に駅伝大会などのイベントも開催され、県民にとって親しみのある観光スポットでした。

しかし、1988年に瀬戸大橋が開通したことで、観光客の数は次第に減少。さらに1990年代以降は、周辺に産業廃棄物処分場が開設されると、ダンプカーの往来が頻繁に見られるようになりました。この影響で、夜には違法な競走を行う暴走族が出没し、かつての賑わいは失われていきました。行政による道路の補修が行われず、舗装は荒れ放題で快適な走行ができなくなりました。結局、2001年にはレストハウスも閉鎖され、観光客が訪れなくなるなど、往時の活気は失われてしまいました。

再生の動き

金甲山の再生には2010年の両備グループ100周年を祝う事業が大きな役割を果たしました。この取り組みにより、閉鎖されていたレストハウスが改修され、展望台も再び一般に開放されるようになりました。その結果、訪れる人々は冬の澄んだ空気の中から大山を望むことができ、近年では本州最遠からあべのハルカスを見ることができるスポットとして注目を集めています。

自然災害とアクセスの回復

2018年には西日本豪雨や台風の影響を受け、土砂崩れが発生して全面通行止めとなりましたが、2021年3月27日に約2年半ぶりにその通行止めが解除され、再び多くの車が夜景を楽しむために集まる光景が見られるようになりました。

山の名前の由来

金甲山という名称は、伝説に由来しています。坂上田村麻呂が由加山の妖鬼である阿久良王を退治する際に、金の甲をこの山中に埋めたという言い伝えがあります。加えて、この山は「神の峰」とも称されており、かつては磐座や古事記の国生み神話に登場する建日方別を祀る祠が存在しました。今日では北側の山麓にある国津神社と吉備津神社の岩山宮で祭られています。

放送送信所

金甲山の山頂には金甲山送信所および北讃岐中継局が設置されており、岡山県と香川県の放送の中心地として機能しています。テレビ放送に関しては原則岡山本局という扱いですが、西日本放送だけは例外的に高松本局として扱われています。しかし、地域の新聞の番組表では他局に並ぶ形で岡山局として扱われます。

金甲山はその美しい自然や歴史を持ち合わせた場所であり、現在では再び多くの人に親しまれる観光地としての地位を取り戻しています。

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