金華山丸 (2代)

金華山丸（きんかさんまる）

金華山丸は、1961年に三井船舶によって運航された世界初の自動化貨物船です。この船の誕生は、船舶の増加による乗組員不足への対応として始まりました。また、自動操縦に関する技術的な課題を解決する動きが1959年に日本の運輸大臣によってスタートし、1960年にはその研究が進められました。この研究結果を元に、金華山丸は日本の造船技術の高度な進展を象徴する一隻となりました。

金華山丸は岡山県玉野市の三井造船玉野造船所で1961年に起工され、同年8月12日に進水し、11月27日に三井船舶に引き渡されました。船の処女航海は1961年12月9日で、パナマ運河を通過する際、航海士がブリッジから直接エンジンを操縦する姿が目撃され、多くの注目を集めました。この画期的な航行方法はアメリカ合衆国政府にまで報じられ、特にニューヨークでの入港は新聞に取り上げられるなど国際的な関心を呼び起こしました。

この船の成功により、船舶の自動化が進展し、その後の自動化船の建造も促進されました。例えば、金華山丸の実績を受けて建造された春日山丸が続いて現れ、また1964年には日本で世界初となる機関室の夜間当直を廃止した油槽船が竣工されました。

金華山丸は1979年までニューヨーク航路や東カナダから五大湖へ航行していました。その後、船体は解体されましたが、機関制御コンソールは保存され、2017年には「日本の造船業の発展の証」として評価されました。そして、第1回ふね遺産に認定され、東京の商船三井本社に展示されています。

構造

金華山丸の基本的な船体構造は、三井船舶の従来の高速定期船とほぼ同様ですが、労働環境の改善のため、機関室内には防音・防熱の制御室が設けられていました。この制御室では、主機の制御や132個の計器の集中監視が可能です。さらに、船橋の操舵室から主機を操縦できるため、船舶の操縦スタイルが革新されました。

また、金華山丸は自動制御機能を備えています。具体的には、主機燃料油の入口温度の自動調整や燃料油清浄機、潤滑油濾器の自動清掃機能が導入され、エンジングラフや排ガス温度の自動記録が行われています。このように、航海中の省力化が大きな特徴です。

貨物艙は、機関室の前後にそれぞれ3艙ずつあり、合計で6艙があります。また、機関室の後部には深油艙を設け、前部の一部には冷蔵艙も構造されています。これにより、冷凍貨物や果物などの保冷貨物を積載することが可能です。

航行のためには、セントローレンス海路に対応するスターンアンカーと航行中の荷物積み下ろしを助けるランディングブームも装備されています。

金華山丸は単なる船舶の一つではなく、当時の技術革新の象徴であり続けています。

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