金華糖

金華糖（きんかとう）は、砂糖を煮溶かして型に流し込み、冷やして固めた砂糖菓子です。食紅で彩色が施され、見た目にも鮮やかで美しいのが特徴です。

その起源は定かではありませんが、江戸時代の書物『守貞漫稿』には、有平糖とは異なるものとして記述されています。当時、砂糖は貴重品であり、金華糖は江戸幕府や主君への献上品としても用いられていました。庶民の間では、お祝い事や贈答品として用いられることが多かったようです。

明治時代になると、砂糖が比較的入手しやすくなったため、金華糖は庶民の間にも広まりました。結婚式の引き出物や節句祝いなど、様々な場面で用いられるようになり、昭和期には駄菓子としても親しまれました。

金華糖の型には、主にサクラ材が使われ、鯛や海老、野菜、果物、七福神など、縁起の良いものが多く見られます。時代とともに、自動車やオートバイ、野球選手など、モダンなデザインのものも登場しました。近年では、LEDを使って中から照明し、装飾品として楽しまれることもあります。

現在でも、石川県金沢市や長崎市など、一部地域で見ることができます。特に、旧加賀藩領であった金沢市や富山県西部では、婚礼や雛祭りの際に金華糖が出されることが多いようです。しかし、大型の金華糖を作る菓子店は減少し、雛祭り用に小型のものが作られることが多くなっています。

金沢の老舗和菓子店「森八」では、数百種類もの金華糖の木型を保存しており、最大で長さ50センチメートル、重さ2.4キログラムもの金華糖を作ることができるそうです。これらの木型は、金華糖の歴史と文化を伝える貴重な財産と言えるでしょう。

金華糖は、その美しい見た目と上品な甘さで、人々の心を魅了し続けてきた日本の伝統的な砂糖菓子です。時代とともに形を変えながらも、お祝い事や贈り物として、これからも愛され続けることでしょう。

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