金角湾 (ウラジオストク)

金角湾の概要と特徴

金角湾（きんかくわん）は、ロシア沿海地方最大の都市、ウラジオストクに位置する入り江です。この湾は日本海の北西部にあるピョートル大帝湾に突き出たムラヴィヨフ＝アムールスキー半島の先端に存在し、東側はゴルドビナ岬、西側はチグローヴイ岬に囲まれています。

湾の長さは約7kmで幅は2km、深さは20mから27mに達します。湾の周囲は丘陵地に囲まれ、海岸線には埠頭や造船所が立ち並んでいます。その丘の上には住宅地区も広がっており、最奥部にはウラジオストク市街の中心が位置しています。この湾は天然の良港として知られ、波からしっかりと保護されています。しかし、ウラジオストク市街は金角湾によって二分されており、交通の不便さが問題でした。それを解消するために湾を横断する橋の建設が計画され、2012年8月には『黄金橋』が完成しました。

歴史的背景

金角湾の歴史は19世紀後半に遡ります。この頃、アイグン条約と北京条約が結ばれるまでは清の領土であり、この湾は「海参崴（ハイシェンウェイ）」と呼ばれていました。最初にこの湾に足を運んだヨーロッパの船は1852年に投錨したフランスの捕鯨船とされています。また、クリミア戦争の際にはロシア帝国海軍艦隊を捜索していたイギリス海軍の艦船ウィンチェスターが湾内に入り、ここを「ポート・メイ」と名付けました。

そして1859年、ニコライ・ムラヴィヨフ＝アムールスキーによって外海から守られたこの場所に軍港ウラジオストクが築かれると、湾の形状がコンスタンティノープルにある金角湾に似ていることからロシア語で「金角湾」と名付けられました。また、湾の南に位置するムラヴィヨフ半島とルースキー島の間の海峡は「東ボスポラス海峡」と名付けられています。

気候と環境

金角湾の気候は非常に独特です。湾は風や波からしっかり保護されており、秋から冬にかけての間は北から北西の強風により寒冷で乾燥した気候になります。一方、夏季には南から南東の穏やかな風が吹き、雨や霧が多く観測されるため、特に6月と7月には霧が発生しやすくなります。これは西のウスリー湾から吹く南東の風によって運ばれてくる霧が主な原因となっています。

湾の両側は市街地や港湾施設が幅広く利用されていて、自然の海岸線はほとんど残っていません。そのため海面には油膜やごみが浮かぶなど、環境汚染の問題が深刻です。

金角湾はその美しさと独自の歴史、また気候の特性から、多くの訪問者を引き付けていますが、今後は環境保全にも配慮した利用が求められるでしょう。

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