ニコライ・ムラヴィヨフ＝アムールスキー

ニコライ・ニコラエヴィチ・ムラヴィヨフ＝アムールスキー伯爵について

ニコライ・ニコラエヴィチ・ムラヴィヨフ＝アムールスキー（1809年8月23日～1881年11月30日）は、ロシア帝国の著名な政治家、外交官、軍人です。彼は1847年に東シベリア総督として任命され、ロシアの極東政策に要となる役割を果たしました。特に、1858年のアイグン条約を締結し、ロシアの領土を大幅に拡大させたことが評価されています。また、日本との交渉を通じて樺太の国境線を明確にしたことでも知られています。

軍人としての始まり

ムラヴィヨフは1809年、サンクトペテルブルクで生まれました。1827年に陸軍中央幼年学校を卒業後、露土戦争やポーランドの十一月蜂起に従軍しましたが、健康を害し1833年には予備役に編入されます。その後、彼は父の財産を管理しつつも、1838年に再び軍に復帰し、カフカス地方でのカフカーズ戦争に参加しました。この期間中、彼は戦傷を負いますが、その後も黒海沿岸警備を担当。1841年に陸軍少将に昇進するも病気を理由に退役し、内務省に転職してトゥーラ県知事に任命されました。

東シベリアへの貢献

1847年、ムラヴィヨフはエニセイ県知事及び東シベリア総督に就任します。彼の総督としての初期の施策は、役人による公金の横領を排除し、先住民のロシア語教育を推進するものでした。また、シベリアへの探検を奨励し、アムール川北部の植民地化を進めました。彼は政府の警戒を招きましたが、その活動はロシアの商取引拡大に寄与しました。1849年から1853年にかけては、アムール川の探検隊を招集し、これが後の領土獲得につながる重要な基盤となりました。

アムール川とアイグン条約

ムラヴィヨフは、1849年から1854年にかけてアムール川の航行権を巡って清国との交渉に従事し、ついに1858年にアイグン条約を締結しました。この条約により、アムール川はロシアと清国の国境と定められ、ロシアは太平洋へのアクセスを得ることとなります。彼はこの成功により「アムールスキー伯爵」の称号を得、シベリアへの植民地化を更に進めます。

日本との交渉

さらに、ムラヴィヨフは1859年に江戸湾に到着し、サハリン全土をロシア領と主張しましたが、日本側はこれを退けました。この時期、ムラヴィヨフはアメリカの支援を仰ぎながら、清国との交渉を行っています。彼の政治的野心と戦略は、ロシアの国益を守るだけでなく、彼自身のキャリアにも影響を与えました。

晩年と記念

1861年に総督職を離れたムラヴィヨフは、その後も政治活動に関与しましたが、1881年にパリで亡くなるまで移住生活を送りました。彼を記念する地名やブロンズ像がロシア各地に残り、彼の業績は今も評価されています。特に、彼の名を冠した「ムラヴィヨフ・アムールスキー通り」がハバロフスクに存在し、多くの訪問者がその足跡を感じられるでしょう。

ムラヴィヨフの事績は、ロシアの歴史における重要な一幕であり、彼の政策は今日の極東地域の形成にも大きな影響を与えました。

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