ルースキー島

ルースキー島の概要

ルースキー島（ルースキーとう）は、ロシアの沿海地方南部に位置する面積97.6平方キロメートルの島である。日本海北西部に広がるピョートル大帝湾の中央部にあり、ムラヴィヨフ＝アムールスキー半島の南沖に位置する。最も近い港湾都市ウラジオストクとは狭い東ボスポラス海峡で隔てられており、島はこの半島によってピョートル大帝湾を西のアムール湾と東のウスリー湾に二分している。また、ポポヴァ島やレイネケ島、リコルダ島などとともにイェフゲニー諸島を形成する。

島の地形は起伏に富み、最高峰のルースキー山は標高291メートルを誇る。断崖に囲まれた海岸があり、美しい自然の景観が楽しめる。島の中央部には細長いノヴィク湾が広がり、その形状からほぼ二分されている。かつては渡船によるアクセスが必要だったが、ルースキー島連絡橋の完成に伴い、ウラジオストク市民の人気の観光地となり、近年、リゾート開発も進んでいる。

歴史

ルースキー島の名称は、19世紀半ばにアムール川流域をロシアに編入したニコライ・ムラヴィヨフ＝アムールスキーに由来する。1860年頃にロシア領となって以降、島の海図や地図が作成され、沿海州で最も農耕に適した土地とされ、19世紀末から20世紀初頭にはロシア人農民が移住し、病院や教会が建設された。野菜も対岸のウラジオストクに出荷され、北東岸には高麗人の集落も存在したが、1930年代後半には中央アジアへの移住が行われた。

一方、ルースキー島はウラジオストク軍港を守る要塞としても重要視され、1889年には防衛線の一部として木造施設が設置された。その後、1890年からはルースキー山を中心に大要塞の建設が計画されたが、完成には時間がかかり、日本海軍によるウラジオストク進入を許してしまう事態も発生した。第一次世界大戦中、砲台や弾薬庫が設けられたが、最終的な完成はシベリア出兵後であった。

ソビエト連邦時代には民間人は立ち入ることができず、海軍施設が強化されたものの、崩壊後は管理が杜撰になり、1992年には食糧不足による悲劇的な事件が起きるなど問題が顕在化した。

現代のルースキー島

ロシア経済が回復する過程で、プーチン政権はルースキー島のリゾート化を目指し、2005年に開発計画を策定した。バイオテクノロジーや情報技術産業の開発区、医療施設の誘致が進められ、2006年にはウラジオストクと島を結ぶ橋の建設が許可された。2012年にはAPEC首脳会議が開催され、リゾート化が加速した。クオリティの高い教育施設として、極東連邦大学も移転し、学生のための施設や生活空間が整備されている。

また、2016年には大規模な水族館「プリモルスキー・オケアナリウム」が開設され、観光施設としても注目を集めている。観光開発も進み、海水浴やネイチャーウォッチング、歴史的な要塞跡地巡りなどが行えるようになった。

注意点

ウラジオストクからはアクセスしやすく、日帰り観光にもぴったりだが、外国人に対しては島内での行動に制限がある点には注意が必要である。ロシア海軍憲兵隊や警察に拘束される恐れもあるため、慎重に行動することが求められる。

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