金谷勲夫

金谷 勲夫（かなや いさお）

金谷 勲夫は、日本のテレビ界において、黎明期から成熟期にかけて数々の人気番組の制作を指揮した著名なテレビプロデューサーです。早稲田大学を卒業後、日本テレビ放送網に入社し、そのキャリアをスタートさせました。

当初、彼は同局の音楽番組部門に所属し、歌謡番組の制作に深く携わりました。この時期に、昭和から平成にかけて多くの視聴者に親しまれた『スター誕生!』、『紅白歌のベストテン』、『ザ・トップテン』といった看板番組や、『日本テレビ音楽祭』、『日本歌謡大賞』といった権威ある音楽特番の制作にプロデューサーやディレクターとして貢献しています。特に『日本歌謡大賞』では、第4回、第8回、第12回と複数回にわたり制作を担当し、その手腕を発揮しました。

その後、金谷氏はバラエティ番組部門へ活躍の場を移します。ここでは、彼のプロデュース哲学がより広範な層に受け入れられ、数々の国民的人気番組を生み出す原動力となりました。『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』では当初プロデューサーを務め、後にチーフプロデューサーへと昇進。また、『世界まる見え!テレビ特捜部』や『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』といった、現在も多くのファンを持つ長寿番組の立ち上げや、その後の番組の方向性を決定づけるチーフプロデューサーとして、番組制作の根幹を支えました。これらの番組だけでなく、『さんま・一機のイッチョカミでやんす』、『どちら様も!!笑ってヨロシク』、『恋のから騒ぎ』、『TVおじゃマンボウ』、『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』など、数多くのバラエティ番組や特別番組において、チーフプロデューサーとしてその名を連ねています。彼の指揮のもと、これらの番組は多くの視聴者の支持を集め、日本のテレビバラエティ史における重要な一頁を飾りました。

日本テレビ放送網の編成局チーフプロデューサーとして辣腕を振るった後、1997年にはグループ会社のVAP（バップ）株式会社に出向しました。VAPでは、取締役や専務といった要職を歴任し、番組制作会社として、あるいはソフトメーカーとしての経営に携わりました。VAPでの勤務を終えた後も、2009年まで日本テレビ音楽の顧問を務めるなど、長年にわたりテレビ業界の発展に貢献し続け、惜しまれつつその職を退きました。

エピソード

プロデューサーとして舞台裏で番組を支える一方、金谷氏は時に番組の表舞台にも登場し、そのキャラクターで視聴者に強い印象を残しました。

『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』では、当時社会現象ともなった「ワンレン・ボディコン」スタイルの女性に扮して出演するという、バラエティ番組らしい体当たりの企画にも参加しています。

『世界まる見え!テレビ特捜部』のオープニング映像で、司会のビートたけし氏が様々なキャラクターに扮するコスプレを披露するのが恒例でしたが、その中には当時の番組プロデューサーであった金谷氏を模倣したものもありました。しかし、その時のたけし氏の扮装は、時代劇に出てくるようなニッカポッカ姿のゴルファーという、極めて不可思議なものでした。さらに背中には「黒部の太陽」と書かれた大きなのぼり旗を背負っており、そのコスプレの意図や背景は、共演者や一般の視聴者には全く理解できませんでした。この状況に対し、もう一人の司会である所ジョージ氏は、この「内輪ネタ」を理解しているのは自分とたけし氏だけだとばかりに苦笑する一幕もありましたが、結局、このコスプレの真意が番組内で説明されることはありませんでした。

テレビ業界の歴史を振り返る番組には、専門家として登場することもありました。2021年10月には、NHK BSプレミアムの特別番組『たけしの“これがホントのニッポン芸能史”』にVTR出演し、ビートたけし氏、所ジョージ氏と画面越しに共演しました。また、同じ制作会社（E&W）が手掛けた番組『HIT SONG MAKERS 〜栄光のJ-POP伝説〜』では、自身が深く関わった伝説のオーディション番組『スター誕生』の制作秘話について、インタビュー形式でその経験を語っています。

担当番組

プロデューサー・ディレクター

スター誕生!
紅白歌のベストテン
ザ・トップテン
日本テレビ音楽祭
日本歌謡大賞（第4回、8回、12回）
クイズ!!体にいいTV

チーフプロデューサー

さんま・一機のイッチョカミでやんす
世界まる見え!テレビ特捜部
ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!
天才・たけしの元気が出るテレビ!!
どちら様も!!笑ってヨロシク
恋のから騒ぎ
TVおじゃマンボウ
世界超偉人伝説
さんま・所のオシャベリの殿堂
ダウンタウンの裏番組をブッ飛ばせ!!
ビートたけしのお笑いウルトラクイズ
スーパークイズスペシャル

関連項目

ビートたけし
所ジョージ
佐野讓顯
菅賢治
吉川圭三

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