金谷宏二

金谷 宏二（かなや こうじ）は、1965年に生まれた日本の映像作家であり、特に撮影監督として多方面で活躍しています。日本映画撮影監督協会（JSC）に所属し、長年にわたり数多くの映画、テレビドラマ、オリジナルビデオ作品の映像表現を担ってきました。

金谷氏のキャリア初期において特筆すべきは、岩井俊二監督との緊密な協働関係です。1990年代初頭に関西テレビの深夜ドラマ枠「DRAMADOS」で岩井監督が手掛けた『見知らぬ我が子』、『殺しに来た男』、『マリア』といった作品群や、フジテレビの実験的な番組「La cuisine」シリーズ内の『オムレツ』、『GHOST SOUP』、『FRIED DRAGON FISH』などで撮影を担当し、岩井作品特有の抒情的で繊細な映像世界を築き上げる上で重要な役割を果たしました。中でも、彼の代表的な仕事として広く知られているのは、『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』です。元々はフジテレビの単発ドラマ「if もしも」の一編として制作されたこの作品（1993年放映）の撮影を務め、その高い評価を受けて後に劇場用映画（1995年公開）化された際も引き続き撮影を担当しました。また、岩井監督の長編映画『スワロウテイル』（1996年）ではBカメラを担当するなど、初期岩井作品の世界観創造に深く関わっています。

その後も金谷氏はジャンルを問わず精力的に活動を続け、その手腕を発揮しています。ホラー、サスペンス、青春もの、コメディ、アクション、さらにはドキュメンタリーに至るまで、担当作品の幅は非常に広いのが特徴です。特にホラー分野では、「怪談新耳袋」シリーズで複数の作品を手がけており、独特の不気味な雰囲気を効果的に映像化しています。また、特定の監督と継続的に組むことも多く、舞原賢三監督とはオリジナルビデオ作品『闘牌伝アカギ』や『雀魔アカギ』、テレビドラマ「幻想ミッドナイト」などで、鈴木浩介監督とは映画『BLOOD 狼血』、『制覇』、『報復』、オリジナルビデオ『極道甲子園』などでタッグを組んでいます。さらに、北村龍平監督の映画『LOVEDEATH』や、三宅隆太監督の映画『呪怨 白い老女』、「怪談新耳袋」スペシャルの一編などでも撮影を務めています。

映画作品としては、『LOVE/JUICE|LOVE_JUICE』（2000年）、『ゲット・イット・オン？』（2001年）、『ハーケンクロイツの翼』（2004年）、『お父さんのバックドロップ』（2004年）、『学校の階段』（2007年）、『鎧 サムライゾンビ』（2009年）、『呪怨 白い老女』（2009年）、『女子カメラ』（2012年）、『アラフォーの挑戦 アメリカへ』（2019年）など多数に及びます。

テレビドラマにおいても、初期の岩井作品群に加えて、「世にも奇妙な物語」の『蟹缶』（1992年）、「幻想ミッドナイト」（1997年）、「ジェリー・イン・ザ・メリィゴーラウンド」（1998年）、「嫉妬の香り」（2001年）、「怪談新耳袋」シリーズ（BS-i）、金曜エンタテイメント枠で放送された「奥様は警視総監シリーズ」（2006年～）、『君が光をくれた』（2006年）、『女子大生会計士の事件簿』（2008年）、『珈琲屋の人々』（2014年）など、その活動範囲は広範です。

劇場映画やテレビドラマ以外にも、オリジナルビデオ作品や、長野オリンピックの公式ドキュメンタリー映画『Nagano '98 Olympics: Bud Greenspan's Stories of Honor and Glory』（1998年）や、長渕剛のライブドキュメント『SAKURAJIMA』のパート撮影といった多様な映像プロジェクトに関わっています。

金谷宏二氏は、その確かな技術と、作品世界に寄り添う柔軟な表現力をもって、日本の映像業界において長年にわたり重要な貢献を続けている撮影監督です。

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