金賢哲

金賢哲：韓国元大統領の次男、学究と政界を往く波乱の人生

金賢哲（キム・ヒョンチョル）氏は、1959年3月生まれ、韓国元大統領金泳三氏の次男として知られています。学者として漢陽大学校特任教授を務める一方、政界においても活発な活動を展開し、その経歴は波乱に満ちたものとなっています。

華麗なる経歴と影：政治家としての金賢哲

金賢哲氏は、父である金泳三氏の選挙陣営で活躍するなど、若くして政治の世界に身を投じました。1988年から1992年にかけては中央世論調査研究所所長、1996年には国連韓国青年協会長を務めるなど、要職を歴任しました。しかし、その華々しい経歴の裏には影も潜んでいました。韓宝疑獄への関与により逮捕され、懲役2年の実刑判決を受けました。この事件は、金賢哲氏の人生に大きな転換をもたらすこととなります。

金泳三大統領退任後、金賢哲氏は政界入りを目指し、国会議員選挙への出馬を検討しましたが、実現には至りませんでした。その後も、慶南大極東文化研究所研究委員、汝矣島研究所副所長、高麗大持続発展研究所研究教授、漢陽大公共政策大学院特任教授、国民大政治大学院特任教授などを歴任。学術界と政界を繋ぐ活動を行いました。

政党を渡り歩く転身：支持政党の変遷

セヌリ党（現・国民の力）時代には、汝矣島研究所副所長を務めていましたが、2012年の総選挙で党の公認を得られず、当時の党首であった朴槿恵氏を激しく批判。セヌリ党を離党し、無所属での出馬も断念しました。

2017年の大統領選挙では文在寅氏を支持し、共に民主党に入党しました。しかし、わずか1年8ヶ月後には文在寅政権の対北朝鮮政策、雇用政策、脱原発政策などを批判し、再び離党という決断を下しました。そして2022年の大統領選挙では尹錫悦氏を支持し、2021年には尹氏と直接対談するなど、その政治的立場は流動的であり続けています。

さらに、金賢哲氏の息子は、2021年8月当時、国民の力の党対外協力委員長を務めていた権寧世氏の議員室の秘書として勤務し、尹錫悦氏の選挙陣営にも参加していたことが分かっています。

金泳三氏の回顧録：父と子の葛藤

金泳三氏は自身の回顧録の中で、1997年に金賢哲氏が斡旋収賄容疑で逮捕された当時の心境を赤裸々に綴っています。「正常な国政運営が不可能で、在任中最もつらく孤独な時間だった」と記し、金賢哲氏を海外に送っておけばよかったという後悔の念を吐露しています。大統領府を「監獄」と表現し、任期を終えることへの強い願望を述べています。また、「一体なぜ大統領になろうとするのか分からない」という言葉も残しており、父と子の葛藤が見て取れます。

金賢哲氏の人生は、韓国政治の歴史と深く関わっており、その波乱万丈な軌跡は、現代韓国政治の複雑さを映し出す鏡と言えるでしょう。今後の動向にも注目が集まります。

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