金銭消費貸借契約

金銭消費貸借契約とは

金銭消費貸借契約とは、将来の弁済を約束して金銭を借り入れる契約のことです。一般的には、銀行や消費者金融などの金融機関が貸主となり締結されます。金消契約やローン契約と略されることもあります。

消費貸借契約は、借りたものを消費することを前提に、同種・同量のものを返却する契約であり、そのうち金銭の貸し借りを対象とするものが金銭消費貸借契約です。

契約の締結と契約書

金銭消費貸借契約は、借主が弁済を約束し、貸主が金銭を交付した時点で成立する要物・不要式契約とされています。しかし、実際には契約書を作成することが一般的です。

契約書

契約書を作成する主な理由は、契約内容を明確にし、後日の紛争を未然に防ぐためです。契約書には、貸主と借主の情報、貸付日、金額、返済方法、利息、遅延損害金などが記載されます。

金銭消費貸借契約書と借用証書は、どちらも証拠となりえますが、契約書は通常2通作成し、双方で保管するのに対し、借用証書は借主が署名押印して貸主に差し入れるため、1通のみ作成されることが多いです。

貸付け前に契約書を締結する場合、その契約は金銭消費貸借契約の予約と解釈されることもありますが、諾成的金銭消費貸借契約として理解する見解が有力です。

実際の記載事項

金銭消費貸借契約書には、以下の内容が記載されるのが一般的です。

貸主と借主
貸付日
貸付金額
貸付けの実行方法
貸付け実行の前提条件
元本返済の時期・方法
利息の定め
遅延損害金の定め
期限の利益喪失事由
保証人、担保設定に関する定め
借主の表明・保証
借主のコベナンツ（財務制限条項など）
貸付債権の譲渡の可否・方法に関する定め
貸主が複数の場合には、エージェントや意思決定に関する定め
準拠法、合意管轄

契約書と印紙税

契約書に記載された金額が1万円を超える場合、印紙税法に基づき収入印紙を貼付し、消印する必要があります。収入印紙がない場合、契約自体は有効ですが、印紙税法違反となります。

契約書の副本についても、署名押印がある場合は課税対象となることがあります。

金銭消費貸借と担保

金銭消費貸借契約には、質権や抵当権などの担保物権が設定されることがあります。抵当権を設定する場合、登記申請後に金銭が交付されるのが一般的です。

利息と損害金

利率

金銭消費貸借契約では、利息と遅延損害金の定めが一般的です。利息制限法により、利率の上限は以下の通り定められています。

元本10万円未満：年20%
元本10万円以上100万円未満：年18%
元本100万円以上：年15%

上限を超える部分は無効となります。遅延損害金の上限は、制限利息の1.46倍です。

利息の定めがない場合、原則として無利息となりますが、商人間の場合は当然に利息が発生します。利率の定めがない場合は、法定利息（年5%）または商事法定利息（年6%）が適用されます。

期限の利益の喪失

金銭消費貸借契約には、借主の信用が低下した場合などに、期限の利益を失う旨の条項が設けられることがあります。

期限の利益とは、債務者が一定の期限まで弁済を猶予される権利のことです。期限の利益を喪失すると、直ちに債務を弁済しなければなりません。

期限の利益喪失事由としては、一般的に以下のようなものが挙げられます。

他の債務について強制執行や保全処分を受けた場合
破産、民事再生、会社更生手続開始の申立てがあった場合
国税滞納処分またはその例による差押えを受けた場合
住所変更の告知義務違反

実際の契約書では、通知・催告なしに当然に期限の利益が失われる場合が一般的です。

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