金龍顕

金龍顕氏：経歴から逮捕、自殺未遂まで

金龍顕氏は、韓国陸軍の軍人、公務員として輝かしい経歴を築き上げた人物です。1959年生まれの彼は、慶尚南道馬山市（現・昌原市）出身。沖岩高等学校卒業後、陸軍士官学校に進学し、少尉としてキャリアをスタートさせました。その後、首都防衛司令官（2013年11月～2015年10月）、合同参謀本部作戦本部長（2015年10月～2017年9月）を歴任し、2017年9月に除隊。

軍を退役後も、韓国政府の中枢を担う要職に就きました。2022年5月には大統領警護処長に就任し、国家元首の警護に尽力。さらに2024年9月には、国防部長官に就任しました。しかし、そのキャリアは2024年末に急転直下します。

2024年非常戒厳発令とその後

2024年12月3日、尹錫悦大統領は、野党「共に民主党」の検察幹部弾劾や政府予算案拒否への対応として、非常戒厳を発令しました。しかし、この決定は国会から全会一致で反対され、数時間後に解除されました。この非常戒厳発令に、金龍顕氏が深く関わっていたことが、後に明らかになります。

金氏は、尹大統領に対し非常戒厳発令を要請したとされ、4日には大統領に辞職を表明。5日、辞任が受理されました。国防部の金善鎬次官と戒厳司令官を務めた朴安洙陸軍参謀総長は、国会の証言で、戒厳兵の国会進入や戒厳司令官の任命など、戒厳令発令における金氏の主導的な役割を明らかにしました。朴氏は、戒厳司令官に任命された際に、金氏からすべての軍事活動の責任を負うよう指示されたと証言しています。

逮捕と自殺未遂

金氏の関与が明らかになったことで、彼は内乱罪などで告発され、12月8日に検察に拘束されました。9日には、検察が内乱と職権乱用の容疑で逮捕状を請求。逮捕状には、金氏が内乱の首謀者ではなく、尹大統領と共謀して内乱に関与した重要任務遂行者であると明記され、尹大統領が「首謀者」と認定されたとみられます。10日、ソウル中央地裁は逮捕状請求を認め、金氏は逮捕されました。

逮捕後、同年12月10日午後11時52分頃、金氏は拘置所のトイレで下着などをつなげた紐を使って自殺を図りました。法務部は、その後、金氏の健康状態に異常はないと報告しています。

金龍顕氏の事件は、韓国の政治と軍の複雑な関係、そして権力闘争の暗い一面を浮き彫りにしました。彼の経歴、戒厳令発令への関与、逮捕、そして自殺未遂という一連の出来事は、韓国社会に大きな衝撃を与え、多くの議論を呼び起こしています。今後の捜査の進展と、この事件が韓国社会にどのような影響を与えるのか、注目が集まっています。

今後の展開

金龍顕氏に対する裁判は、韓国社会に大きな関心を集めています。内乱容疑の真相究明、尹大統領との関係性の解明、そして戒厳令発令の経緯などが、今後の裁判の焦点となるでしょう。この事件の行方は、韓国の政治と社会に大きな影響を与える可能性があり、今後の展開から目が離せません。 また、金氏の自殺未遂事件は、拘置所の管理体制や受刑者のメンタルヘルスケアについても問題提起しており、今後の制度改革も期待されます。

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