鈴木七美

鈴木七美氏は、日本の文化人類学者として、医療人類学、歴史人類学、医療社会史を専門としています。1958年生まれ、宮城県仙台市出身です。東北大学薬学部薬学科を卒業後、星薬科大学、中外製薬、相模中央化学研究所、イェール大学での研究生活を経て、お茶の水女子大学大学院で修士号と博士号を取得しました。

研究者としてのキャリアは、京都文教大学人間学部助教授・同文化人類学専科教授を経て、2007年4月より国立民族学博物館に勤務。先端人類科学部教授、研究戦略センター教授、グローバル現象研究部教授を歴任し、現在は同名誉教授となっています。

鈴木氏の研究テーマは、医療や健康、そして人々の生活に深く関わるものです。特に、出産、癒し、高齢化社会における暮らしといったテーマに関心を寄せ、歴史的、文化的視点から考察を加えています。

著書には、

『出産の歴史人類学―産婆世界の解体から自然出産運動へ』（新曜社、1997年）
『癒しの歴史人類学―ハーブと水のシンボリズムへ』（世界思想社、2002年）
『エイジングフレンドリー・コミュニティ―超高齢化社会における人生終章の暮らし方』（新曜社、2019年）
『アーミッシュキルトを訪ねて 照らし出される日々の居場所へ』(大阪大学出版会、2022年）

などがあります。

『出産の歴史人類学』では、産婆の世界の解体から自然出産運動への流れを、歴史人類学的な視点から分析し、1998年に女性史青山なを賞を受賞しています。

また、『癒しの歴史人類学』では、ハーブや水といった身近な存在が持つ象徴的な意味を、歴史と文化の文脈の中で読み解いています。

近年では、高齢化社会における人々の暮らし方にも焦点を当て、『エイジングフレンドリー・コミュニティ』では、高齢者が地域社会でより良く生きるためのコミュニティのあり方を提案しています。さらに、アーミッシュキルトを題材に、人々の生活における居場所について考察を深めるなど、幅広いテーマに取り組んでいます。

鈴木七美氏は、医療人類学、歴史人類学、医療社会史の知識を駆使し、人々の生活、文化、歴史を深く理解することで、現代社会が抱える問題に対する新たな視点を提供し続けている研究者です。

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