鈴木修 (実業家)

鈴木修 (すずき おさむ)

日本の実業家であり、スズキ株式会社の相談役を務めた鈴木修は、1930年1月30日に岐阜県で生まれ、2024年12月25日に94歳で亡くなりました。スズキ自動車工業（現スズキ株式会社）の社長、会長、CEOなどを歴任し、スズキを世界的な自動車メーカーへと成長させた立役者として知られています。

生い立ちとキャリア初期

旧姓は松田。益田農林学校卒業後、教員として勤務しながら中央大学で学びました。大学卒業後、中央相互銀行（現在の愛知銀行）に入行。1958年にスズキの2代目社長、鈴木俊三の娘婿となり、同年スズキに入社しました。

実業家としての功績

1978年にスズキの代表取締役社長に就任。当時、自動車排出ガス規制への対応の遅れで苦境に立たされていたスズキを立て直すため、軽自動車「アルト」を発売。徹底したコストカットと、それまでの常識を覆す発想で開発されたアルトは、大ヒット商品となりました。その後も「ワゴンR」など、軽自動車の商品力を高め、スズキの経営を安定させました。

また、海外展開にも積極的で、特にインド市場では現地企業との合弁会社を設立し、大きな成功を収めました。ゼネラルモーターズ（GM）との業務提携、フォルクスワーゲンとの提携など、積極的に他社とのアライアンスを進め、スズキの成長を加速させました。社長就任時、1700億円だった売上高を、2007年には3兆円を超えるまで成長させたことは、彼の経営手腕を物語っています。

経営理念と人物像

鈴木修は、徹底した現場主義、現実主義者として知られていました。ディーラーや小売店の整備工場へも自ら足を運び、現場の意見を吸い上げ、経営に反映させました。その経営手腕、歯に衣着せぬ言動はマスコミからも注目を集め、多くの経済番組にも出演しました。

軽自動車への情熱

軽自動車の増税には否定的な立場を貫きました。「軽自動車は、技術の粋を集めた芸術品のようなものだ」と、その存在意義を強く主張しました。また、「軽自動車は比較的低所得の人が生活・仕事に使っている」として、増税は弱者いじめだと批判しました。

晩年

2015年には社長の座を長男の鈴木俊宏に譲り、会長兼CEOに留まりましたが、2021年に会長を退任、相談役となりました。2024年12月25日、悪性リンパ腫のため94歳で亡くなりました。

その他の活動

日本自動車工業会理事、中部瓦斯取締役、中部実業団陸上競技連盟会長など、多くの要職を歴任。また、公益財団法人日印協会理事・副会長を務めるなど、経済界以外でも幅広い活動を行いました。

受賞歴

1987年、藍綬褒章受章。2000年、勲二等旭日重光章受章。2007年、インド国勲章（Padma Bhushan）を受章。ハンガリー名誉総領事も務めました。

家族

鈴木家はスズキの創業家として知られており、多くの実業家を輩出しています。
義祖父：鈴木道雄（スズキ創業者）
岳父：鈴木俊三（スズキ2代目社長）
長男：鈴木俊宏（スズキ社長）
娘婿：小野浩孝（通産官僚）

著書

『俺は、中小企業のおやじ』(日本経済新聞出版社)

語録

「ゼネラル・モーターズが鯨で、うちがメダカ？いやうちはメダカじゃなくて蚊ですよ。だってメダカは鯨にのみ込まれてしまうが、蚊であれば空高く舞い上がることができるのでのみ込まれない。」
「現場の班長と一緒に1万円のコストを浮かした苦労話を聞く。そうしたら無駄遣いなんてとてもできない。」
「軽は貧乏人の車だ。スポーツカーは要らない。」

テレビ出演

日経スペシャル カンブリア宮殿（テレビ東京）

外部リンク

スズキ株式会社

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