鈴木六林男

鈴木六林男（すずき むりお）

プロフィール

鈴木六林男は、1919年9月28日に生まれ、2004年12月12日に亡くなった俳人です。本名は次郎。山口高等商業学校（現在の山口大学）を中退しました。俳句の世界では、社会性俳句の中心作家として知られています。戦中・戦後の激動期を生き、その経験を基にした句は、多くの読者に深い感動を与えました。

俳句との出会い

初期の頃は「串柿」に投句し、永田耕衣や加藤滋の選を受けていました。学生時代には同人誌「螺線」を創刊し、「蠍座」「京大俳句」「自鳴鐘」といった俳句結社にも関わりました。西東三鬼に師事し、新興俳句運動にも参加しました。

戦争体験と俳句

1940年に応召し、中国大陸やフィリピン諸島を転々としました。1942年にはバターン・コレヒドール戦で負傷し、帰還後に除隊しました。この戦争体験は、彼の俳句に大きな影響を与えました。戦後も商業学校に戻りましたが中退。「青天」「雷光」「夜盗派」「梟」「風」「頂点」など、多くの俳句結社に関わり、社会性俳句の中心作家として注目を集めました。

「花曜」創刊と晩年

1971年には俳句雑誌「花曜」を創刊・主宰し、季語を無季の地続きにあるものとして捉え、戦後も戦争句や無季句を詠み続けました。代表句として「遺品あり岩波文庫「阿部一族」」があります。1957年に第6回現代俳句協会賞、1995年に第29回蛇笏賞（句集『雨の時代』による）、2002年には第2回現代俳句大賞を受賞しました。2001年には勲四等瑞宝章を受章しました。1984年から1990年まで大阪芸術大学の教授も務めました。2004年12月12日、肝不全のため大阪府泉大津市で亡くなりました。享年85歳。戒名は禅林院鶴翁杜若居士。没後の2005年3月、「花曜」は解散しましたが、同人・会員たちは「六曜」「やまぐに」「光芒」「香天」「花象」「洛曜」などの雑誌を創刊し、活動を継続しています。

作品の特徴

鈴木六林男の俳句は、社会に対する鋭い視点と、戦争体験に基づく深い感情が特徴です。季語に囚われず、自由な発想で詠まれた句は、現代俳句に大きな影響を与えました。彼の作品は、時代を超えて多くの人々に読み継がれています。

主要な著作

第一句集『荒天』（1949年）
第二句集『谷間の旗』（1955年）
第三句集『第三突堤』（1957年）
第四句集『櫻島』（1975年）
第五句集『国境』（1977年）
『鈴木六林男全句集』（1978年）
第七句集『後座』（1981年）
第八句集『悪霊』（1985年）
第九句集『雨の時代』（1994年）
第十句集『一九九九年九月』（1999年）
『鈴木六林男句集』（2002年）
『鈴木六林男全句集』（2008年）

参考文献

堀本吟「鈴木六林男」『現代俳句ハンドブック』雄山閣、1995年
久保純男「鈴木六林男」『現代俳句大事典』普及版、三省堂、2008年

外部リンク

現代俳句人名事典における鈴木六林男の俳句 (現代俳句協会)
鈴木六林男の句の鑑賞 (増殖する俳句歳時記)

鈴木六林男は、その独自の視点と深い感情表現で、俳句の世界に大きな足跡を残しました。彼の作品は、これからも多くの俳人に影響を与え続けるでしょう。

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