鈴木庸夫

鈴木庸夫 経歴と業績

鈴木庸夫（すずき つねお、1947年11月13日生）は日本の法学者であり、弁護士です。行政法を主要な専門分野とし、地方自治や統計法、さらにはオーストラリアの行政法研究にも携わりました。教育者としては千葉大学や明治学院大学で教鞭を執り、公的な分野では政府や自治体の委員会等で重要な役割を果たしました。

学究生活と教育キャリアの開始

鈴木氏の学術的な道は、一橋大学大学院法学研究科で始まりました。公法学専攻の修士課程を1973年に修了。公法学における指導教官は市原昌三郎氏でした。大学院の博士課程では単位を取得し、1976年に満期退学しています。同年、千葉大学教養学部の講師として教育者としてのキャリアをスタートさせました。

千葉大学においては、1979年に助教授へ昇任。その後、1994年には法経学部に移り、助教授を務め、1996年には同教授となりました。行政法を専門とする研究者として、多くの学生を指導し、その中には一橋大学大学院法学研究科教授となった田中良弘氏などもいます。

研究・教育の拡大と新たな活動

千葉大学での教育・研究活動に加え、1997年にはシドニー大学から名誉客員教授の称号を授与され、国際的な視点からの研究交流も行いました。2007年からは千葉大学大学院専門法務研究科（法科大学院）の教授として、高度な専門知識を持つ法曹の育成に力を注ぎました。

長年にわたる教育・研究への貢献が認められ、2013年には千葉大学名誉教授の称号を授与されました。この年、鈴木氏は新たなキャリア展開として弁護士登録を行い、千葉市の真田綜合法律事務所に所属。実務家としての活動を開始しました。同時に、明治学院大学大学院法務職研究科の教授に就任し、引き続き法曹養成に携わりました。

公的な役割と社会貢献

鈴木氏はその専門知識を行政の実務分野でも活かし、数多くの公的な機関で重要な役職を担いました。国立国会図書館の事務文書開示審査会では会長として、情報公開制度の運用に関わりました。また、参議院事務文書公開苦情処理委員会会長代理や千葉市情報公開審査会会長なども務め、情報公開の推進と適正な実施に貢献しました。千葉県の政策法務アドバイザーとして地方自治体の法務に関する助言を行い、千葉大学法務室の顧問弁護士としても大学の法的課題に取り組みました。さらに、人事院や自治大学校などで講師として公務員向けの研修を担当するなど、実務家への法知識普及にも尽力しました。2017年にはシー・エス・ランバー社の取締役に就任するなど、活動範囲は広範です。

主要な著作

研究者としての業績は多数の著作にまとめられています。主要なものとしては、行政法の基本的な理解を助ける『目で見る行政法教材』（石川敏行、山下淳との共編著、有斐閣、1993年）があります。また、土地利用に関する規制や条例・要綱に焦点を当てた『開発規制と条例・要綱：土地所有権の公共性と規制手法』（地方自治総合研究所、1994年）は実務的な視点も含まれています。情報公開制度の動向に関する『変革期を迎えた情報公開制度の設計と運用：情報公開法とこれからの自治体条例』（後藤仁と共同監修、地域科学研究会、1999年）や、地方分権改革に対応した条例策定の解説書である『どう変わる？どうつくる?第2期地方分権改革条例の策定と審議：自治体規模別に改正法を解説』（イマジン出版、2012年）などがあり、現代社会における行政の課題に対する深い考察を提供しています。

鈴木庸夫氏は、法学者、教育者、弁護士、そして多くの公的な役割を通じて、日本の行政法学の発展と社会への貢献を続けています。その多様な活動は、理論と実務を結びつける重要な役割を果たしています。

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