鈴木正雄 (角海老)

鈴木正雄：ソープの帝王と呼ばれた実業家の生涯

鈴木正雄（1932年9月18日生まれ）は、日本の実業家であり、角海老グループの創業者兼経営者として知られています。角海老グループは、ソープランド32軒、宝石店、ボクシングジム、不動産会社、バスタオル洗濯会社など、多岐にわたる事業を展開しており、鈴木は「ソープの帝王」と呼ばれていました。

生い立ちと困窮の時代

鈴木は富裕な家具屋と妾の間に生まれ、山田家の養子となりました。小学校から旧制開成中学校に進学しますが、戦況の悪化により山形県へ疎開。戦後、東京に戻るも実家と養家の没落により困窮生活を送り、アルバイトをしながら旧制開成中学校に通いました。その後、便所掃除や人力車の車夫として働きながら、巣鴨商業高等学校に通うも中退。苦労の末、自力で道を切り開いていったのです。

吉原での成功、そして「角海老」へ

母親が浅草の花柳界にいた縁から、鈴木自身も吉原で輪タクの経営を始め、その後、女郎屋「あけぼの二号店」を開業。さらに、車夫時代から出入りしていた老舗遊郭「角海老」の名を継ぎ、事業を拡大していきました。この「角海老」という名前が、彼のその後の人生を象徴するものとなっていきます。

スキャンダルと政財界との繋がり

鈴木は売春防止法違反などで10回の逮捕歴を持ち、脱税容疑で国税庁の査察を受けること2回。3回の執行猶予付き有罪判決を受けています。しかし、外国からの賓客接待に売春を斡旋していたことから、政財界や官界に太いパイプを持ち、田中角栄や大平正芳といった内閣総理大臣、最高裁判所長官の石田和外など、多くの著名人と親交がありました。これらの人脈が、彼が度重なる逮捕にも関わらず実刑判決を受けなかった理由の一つかもしれません。

荒川区長者番付2位

1977年には、個人所得が東京都荒川区の長者番付で第2位（当時の国家公務員の初任給が8万8000円の時代に1億4992万円）となるなど、その経済力は圧倒的でした。

在日朝鮮人説とボクシングジムオーナー

鈴木は在日朝鮮人と言われることもありますが、これは同姓同名の恐喝犯と混同した誤伝であると主張しています。また、角海老宝石ボクシングジムを開設し、ジムオーナーとして小林光二（元WBCフライ級王者）、イーグル・デーン・ジュンラパン（イーグル京和、元WBCミニマム級王者）、小堀佑介（元WBAライト級王者）など、数々の名ボクサーを育成しました。ボクシング経験はないものの、その手腕は高く評価されています。

鈴木正雄の人生は、まさに波瀾万丈。逆境を乗り越え、一代で巨万の富を築き上げたその手腕は、賛否両論あれど、特筆に値するでしょう。

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