鉄舟寺

鉄舟寺について

鉄舟寺（てっしゅうじ）は、静岡県静岡市清水区に位置する、臨済宗妙心寺派に属する寺院です。山号は補陀落山で、本尊は千手観音菩薩であり、信仰の対象となっています。この寺院は、長い歴史を持ち多くの文化財に恵まれています。

歴史

鉄舟寺の歴史は古く、推古天皇の時代にさかのぼります。当初、この寺は秦氏出身の久能忠仁によって、現在の久能山東照宮の近くに建立されました。その後、奈良時代に僧行基がこの地を訪れ、「久能寺」と名付けました。平安時代には天台宗に改宗し、地域で栄えましたが、1570年、武田信玄によって城が築かれる際に現在の地に移され、宗派も新義真言宗に変更されました。

江戸時代には、朱印寺領として200石以上の土地を与えられ、多くの支坊を持つなど繁栄していました。しかし、江戸時代後期から衰退し、明治時代に入ると住職がいない無住の状態となり、寺は荒廃しました。

その後、明治に入ってからは旧幕臣であった山岡鉄舟の努力により復興が進み、寺号も鉄舟寺に改められました。鉄舟が招いた今川貞山とともに、当寺は新たな息を吹き込まれ、鉄舟の書跡などが多く残されています。

文化財

鉄舟寺は多くの文化財を有しており、特に国宝に指定されている法華経（久能寺経）19巻が著名です。この法華経は、1142年に待賢門院の出家に伴い、鳥羽法皇や美福門院などが結縁して書写されたものであり、現存最古の一品経として非常に貴重です。現在、この経典は東京国立博物館に寄託されています。

さらに、鉄舟寺には重要文化財として指定されている錫杖があり、1142年に作られたものです。他にも、木造千手観音像や木造蘭陵王仮面などの文化財が存在します。また、源義経が愛用していた薄墨の笛も市指定文化財として知られています。この笛は平安時代末期に寄進され、現在は特別な演奏会が行われるなど、地域文化の一部として親しまれています。

所在地とアクセス

鉄舟寺は静岡県静岡市清水区村松2188に位置しており、JR東海の東海道本線清水駅から静鉄バスに乗り、「鉄舟寺」バス停で下車することでアクセスできます。周辺には龍華寺や海長寺などの他の寺院も点在しており、観光を楽しむことができます。

結びに

鉄舟寺は、その豊かな歴史と文化遺産によって地域の人々に愛されている寺院です。訪れることで、歴史的な背景や文化財に触れることができ、静岡の貴重な宝物を実感することができるでしょう。

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