鉄製有蓋車

鉄製有蓋車について

鉄製有蓋車（てつせいゆうがいしゃ）とは、有蓋貨車の一種で、全ての構造部品が鉄で構成されている車両です。この車両は日本国有鉄道（以下、国鉄）では「テ」という記号が使われていました。

鉄製有蓋車は、一般的な有蓋車といくつかの点で異なります。通常の有蓋車、たとえばワム20000形の場合、外側は鉄製ですが、内装には断熱効果を持たせるために木材が使用されています。一方、鉄側有蓋車の例としてスム1形があり、こちらは側面こそ鉄製であっても、屋根は鉄で作られていません。これに対し、鉄製有蓋車はその名の通り、側面内部や屋根まで全てが鉄製であるため、特定の貨物輸送に適しているのです。

この車両が初めて使われたのは、主に油（灯油）を輸送するためのものでした。初期の模型には、木造有蓋車の内壁を鉄板で覆った「鉄張有蓋車」と呼ばれるタイプもありました。しかし、やがて油の輸送は専用のタンク車に引き継がれましたので、鉄製有蓋車の新たなニーズが生まれることになりました。

大正期になると、生石灰の生産が活発化し、全鋼製で水密性を重視した鉄製有蓋車が登場しました。なぜこれが求められたかというと、生石灰は水分を吸うと発熱し、その際に木製の内張と接触していると火災の危険が生じるからです。そのため、この新しい有蓋車は雨水の影響を最小限に抑えるため有蓋構造が採用され、さらに全てが鉄製で構成されることによって、可燃物を排除し、万が一の発火時に対するリスクも軽減されました。

現在、日本国内では上信電鉄が1両の鉄製有蓋車（テム6）を所有していますが、営業用としては活用されておらず、特別なイベントなどで使われています。また、上信線沿線には車籍を持たない鉄製有蓋車がいくつか留置されています。具体的には、テム1が高崎駅の車両基地に、テム2、テム3が上州福島駅に、テム8、テム9、テム10が下仁田駅にそれぞれ停められています。上州福島駅にある2両については、車番が表示されていないため、詳細は不明です。

主な形式

• - 日本国有鉄道

- テ1000形
- テ1200形
- テム100形
- テム300形
- テラ1形
- テキ1形（2代・私有貨車）
- テキ200形（私有貨車）

• - 上信電鉄

- テム1形

• - 秩父鉄道

- テム500形
- テム600形
- テキ100形

• - 西武鉄道

- テキ401形

鉄製有蓋車の重要性は高く、その特有の設計と機能は特定の需要に応じた輸送手段としての役割を果たしています。今日でも、この種の車両は貴重な存在であり、今後の活用方法に期待が寄せられています。

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