鉄道債券

鉄道債券とは

鉄道債券とは、かつて存在した公共企業体である日本国有鉄道（国鉄）が、日本国有鉄道法に基づき発行した債券のことです。この債券は、国鉄の長期的な資金調達を目的としており、一般的な社債や公債とは異なる、特別な法的根拠を持つ債券でした。

概要

日本国有鉄道法第42条の2により、国鉄は長期的な財源を確保するために鉄道債券を発行しました。この債券は社債や公債とは異なり、関連法令の制約を受けませんでした。そのため、引受先の制限がなく、海外からの資金調達も可能でした。発行には運輸省の認可が必要であり、発行限度額は国会の議決によって決定されました。また、発行事務は運輸大臣の認可を得て、銀行または信託[[銀行]]に委託することができました。さらに、東海道新幹線の建設資金調達のため、国際復興開発銀行に引き渡す鉄道債券の発行を可能にするため、1960年には国鉄法が改正され、外国の銀行や信託会社にも発行事務を委託できるようになりました。

鉄道債券の消滅時効は、元金が10年、利子が5年と定められていました。償還期限が比較的短いため、国鉄の財政が悪化すると、債券残高の増加が償還額の増加に直結し、国鉄の資金繰りを圧迫しました。このことが、国鉄分割民営化の要因の一つとなりました。

鉄道債券の種類

鉄道債券は、その発行形態や引受先によって、以下の9種類に分類されます。

公募債

政府保証鉄道債券（公募債）

個人や金融機関が引き受ける債券で、政府の保証が付与されています。一般的に「鉄道債券」と言う場合、この政府保証鉄道債券を指すことが多いです。

非公募債

特別鉄道債券（利用債）

新駅建設、線路増設、電化、新車両導入など、特定の事業資金調達を目的として発行されました。沿線の地方公共団体などの受益者が引き受けました。発行は、緊急度が高く、かつ採算性の良い事業に限定されていました。1954年度から引受が開始されました。

ろ号特別鉄道債券（縁故債）

国鉄共済組合が引き受けた債券です。1958年度から引受が開始されました。

は号特別鉄道債券（政府引受債）

大蔵省資金運用部と郵政省簡易保険局が引き受けました。国鉄末期には、当該年度の公募債発行後の市場状況を見て、公募債の肩代わりとして発行されるケースが多くなりました。

に号特別鉄道債券（に号債）

都道府県などの地方公共団体が引き受けた債券です。

ほ号特別鉄道債券（ほ号債）

車両メーカーや建設会社など、国鉄と関係のある民間企業が引き受けました。1965年度から引受が開始されました。

へ号特別鉄道債券（へ号債）

都市[[銀行]]などの金融機関が引き受けた債券です。

と号特別鉄道債券（と号債）

東京都、長銀信託、生命保険会社、農林金融機関が引き受けた債券です。

ち号特別鉄道債券（ち号債）

国鉄共済組合が引き受けた債券です。

これらの鉄道債券は、国鉄の財政を支える重要な役割を果たしましたが、その償還問題は国鉄の経営を圧迫し、最終的には国鉄分割民営化の一因となりました。

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