鉄道弘済会

公益財団法人鉄道弘済会：鉄道職員の福祉から社会貢献へ

公益財団法人鉄道弘済会は、鉄道職員とその家族の福祉を支援するために設立された団体です。設立当初は、鉄道事故で負傷した職員への義肢装具の提供や、遺族への経済的支援が中心でした。しかし、時代とともに事業内容は多様化し、現在は障害者福祉、児童福祉、そして不動産賃貸など、幅広い事業を展開しています。

設立の背景：危険と隣り合わせの鉄道職場

国鉄時代、鉄道の現場は非常に危険な職場でした。列車の連結作業や貨物の積み下ろし作業中に、多くの職員が殉職したり、重傷を負ったりしていました。当時の国鉄共済組合による支援は限定的だったため、重度の障害を負った職員や遺族は深刻な生活困窮に陥っていました。このような状況を改善するため、鉄道省の官僚であった片岡謌郎氏らによって、鉄道弘済会の設立が推進されました。

事業内容：福祉事業から不動産賃貸まで

鉄道弘済会は、大きく分けて公益事業と収益事業の二つの柱で活動しています。

公益事業は、社会貢献を目的とした事業です。主な事業は以下の通りです。

障害者福祉事業: 身体障害者に対する義肢装具の製作・修理、知的障害者や自閉症者への就労支援、生活支援などを行っています。東京都荒川区にある「義肢装具サポートセンター」では、高度な技術を持った専門家が、日常生活からスポーツまで幅広く対応できる義肢装具を製作しています。パラリンピック選手なども利用するなど、高い評価を得ています。
児童福祉事業: 保育所・認定こども園を全国24カ所運営し、保育サービスを提供しています。また、孤児や戦災孤児を支援する「札幌南藻園」などの児童養護施設も運営しています。
* その他: 福祉に関する書籍や資料を閲覧・貸出できる「福祉資料室」も設置し、社会福祉の啓発活動にも取り組んでいます。

収益事業は、公益事業を支えるための事業です。かつては、駅構内売店「キヨスク」の運営や新聞雑誌の取次ぎなども行っていましたが、現在は、全国107カ所のオフィスビルやマンションなどの不動産を保有し、賃貸事業を主な収益源としています。会議室の貸出なども行っています。

歴史：国鉄民営化を経て現在へ

1932年の設立以来、鉄道弘済会は時代に合わせて事業内容を変化させてきました。国鉄時代にはキヨスクを直営し、大きな収益源としていましたが、国鉄の民営化を機にキヨスク事業はJR各社に譲渡されました。その後も、社会情勢の変化や経済状況の変化に対応しながら、公益事業への注力を強めてきました。近年では、公益財団法人への移行や新聞雑誌取次事業からの撤退など、組織改革も進めています。

鉄道弘済会の未来：持続可能な社会貢献

鉄道弘済会は、設立以来、鉄道職員の福祉向上に貢献してきました。そして、現在は、社会全体への貢献を目指し、多様な福祉事業を展開しています。これからも、社会のニーズに応えながら、持続可能な社会貢献活動を続けていくことが期待されています。

過去の事業と関連会社

鉄道弘済会は、過去にはキヨスク運営以外にも、様々な事業に携わっていました。例えば、出版事業、飲食事業、さらには不動産開発事業なども行っていました。これらの事業の一部は、民営化や経営状況の変化を理由に、撤退または他社へ譲渡されています。 これらの事業の盛衰は、時代の変化や経済状況を反映しており、鉄道弘済会の歴史の一端を垣間見ることができます。

これらの事業を通して、鉄道弘済会は社会貢献を続け、その活動は現在も発展を続けています。将来においても、社会ニーズに合わせた事業展開と社会貢献への更なる発展が期待されています。

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