鉄道趣味 (雑誌)

鉄道趣味とは

鉄道趣味（てつどうしゅみ）は、1933年5月から1937年12月まで発行されていた日本の鉄道雑誌です。この雑誌は、鉄道趣味社によって刊行され、当時の鉄道ファンに多大な影響を与えました。その独自の存在感から、鉄道に対する熱い情熱を持つ者たちの間で広く愛されました。

背景と設立の経緯

鉄道趣味は、先に創刊された『鉄道』（1929年創刊）のスタッフだった宮松金次郎の主導で設立されました。『鉄道』には鉄道模型と実物の鉄道について広く取り扱われていましたが、宮松はその内容が実物の鉄道中心であるという新しい視点を求めたのです。そのため、彼は編集方針の相違から独立し、鉄道趣味を発刊することになりました。

雑誌の特徴

鉄道趣味は、A4サイズの大型雑誌であり、その大きさは同時期の『鉄道』よりも目を引くものでした。最初の定価は50銭、廃刊時には1円に達しました。この雑誌は宮松金次郎が編集長を務めており、彼のビジョンと情熱が誌面に色濃く反映されていたことでしょう。

発行部数は少なく、主に鉄道模型店を通じて販売されており、一般の流通機構には載っていませんでした。そのため、刊行数は月刊の体裁を取っていたものの、実際には発行されない月も多く、合併号が頻繁に出されることもありました。

デザインと内容

表紙デザインは、同じ写真が使用され、号によってロゴの文字色が変えられるというユニークなスタイルが取られていました。これにより、読者は一目で号の違いを認識できるようになっていました。

廃刊の理由

しかしながら、戦時体制とその影響を受けた用紙の統制が進む中、鉄道趣味の発行は難しくなりました。その結果、1937年12月31日に発行された第5巻3号（通巻40号）が最後となり、廃刊に至りました。特に、戦争による情勢悪化が発行を制約する要因となったことは否めません。

戦災による影響

さらに、掲載されていた写真の中には、戦災で原版を失ったものも存在します。杵屋栄二が撮影した約3000枚の写真（ガラス乾板）は無事に残っていたものの、他の時期に撮影されたものは戦災の影響を受け焼失してしまいました。彼は長唄三味線方の人間国宝でもあり、鉄道趣味者としても名を馳せていたため、彼の作品は今でも多くの人々から愛されています。

鉄道趣味は、その独自なアプローチを通じて、鉄道に対する情熱を持つ人々の心を捉えてきました。現在の鉄道雑誌とは異なり、発行部数が少ない特別な存在であり、その歴史は鉄道ファンにとって忘れられないものとなっています。

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