鉄道道路併用橋

鉄道道路併用橋とは

鉄道道路併用橋とは、その名の通り、鉄道と道路が同じ橋を共有する構造の橋のことです。これらの橋は、限られた予算や地形的な制約の中で、効率的な交通インフラを構築するために採用されることがあります。

併用橋の必要性

河川や海峡などに橋を架ける際、鉄道と道路のそれぞれに専用の橋を建設するには、莫大な費用がかかります。そこで、両方の交通を1つの橋でまかなうことで、建設コストを大幅に削減することが可能になります。また、地形的な理由から、複数の橋を建設することが難しい場合にも、併用橋が有効な解決策となります。

併用橋のタイプ

鉄道道路併用橋には、いくつかの異なるタイプが存在します。大きく分けると、以下の4つのタイプに分類できます。

1. 同一平面併用型: 鉄道と道路が同じ平面上に並んでおり、走行区域も共有するタイプです。現在、日本では江ノ島電鉄の神戸橋が唯一の現存例です。かつては、名鉄犬山線や東急大井町線にも存在しましたが、交通量増加や安全上の問題から、後に分離されました。

注意点: このタイプは、鉄道と道路の安全を確保するために、厳格な管理が必要となります。特に、鉄道線路を道路上に敷設する場合は、所管官庁の許可が必要となります。

2. 同一平面分離型: 鉄道と道路が同じ平面上に並んでいますが、それぞれの走行区域が分離されているタイプです。レインボーブリッジ、淀川橋梁、村山[[橋]]などがこのタイプに該当します。

特徴: このタイプは、同一平面併用型に比べて、鉄道と道路の安全性が向上しています。

3. 上下分離型(下部工共有): 鉄道と道路が、橋の下部構造(橋脚など)は共有しますが、上部構造(桁など)は分離されているタイプです。つくばエクスプレスの小貝川橋梁、利根川橋梁などがこのタイプに該当します。

特徴: このタイプは、建設コストを抑えながら、鉄道と道路の独立性を保つことができます。

4. 上下分離型: 鉄道と道路が上下に分離して敷設されるタイプです。瀬戸大橋、関西国際空港連絡橋などがこのタイプに該当します。モノレールの場合、鉄道が上側に敷設されることが多いですが、普通の鉄道では重量バランスの関係から、鉄道が下側に敷設されるのが一般的です。

特徴: このタイプは、鉄道と道路の安全性が最も高く、それぞれの交通をスムーズにすることができます。

海外の併用橋

世界には、数多くの鉄道道路併用橋が存在します。以下に、その一部を紹介します。

南京長江大橋 (中国): 4の類型。長江に架かる巨大な橋で、鉄道と道路が上下に分離されています。
青馬大橋 (香港): 鉄道と道路が同一平面で分離されているタイプです。
中朝友誼橋 (中国/北朝鮮): 2の類型。鴨緑江に架かる橋で、鉄道と道路が並行しています。
ロンビエン橋 (ベトナム): 2の類型。ハノイの紅河に架かる橋で、歴史的な価値も高いです。
クリミア大橋 (ロシア): 3の類型。ケルチ海峡をまたぎ、鉄道と道路が上下に分離されています。
ドン・ルイス1世橋 (ポルトガル): 4の類型。ポルトのドウロ川に架かる美しい橋です。

過去に存在した併用橋

過去には、鉄道と道路が併用されていたものの、後に分離された橋も数多く存在します。西螺大橋（台湾）やサンフランシスコ・オークランド・ベイブリッジ（アメリカ）のように、鉄道部分が廃止され道路に転用された例や、マナンピティヤ橋（スリランカ）やアトック橋（パキスタン）のように、道路部分が廃止され新しい道路橋に移行した例もあります。

計画中止となった併用橋

揖斐大橋、長良大橋、マタディ橋（コンゴ民主共和国）などは、鉄道道路併用橋として計画されたものの、計画が中止となり、線路が敷設されることはありませんでした。また、明石海峡大橋は、当初は併用橋として計画されていましたが、最終的に道路単独橋として建設されました。大鳴門[[橋]]も構造上は鉄道を通すことができますが、計画変更により、鉄道部分は未使用のままとなっています。

まとめ

鉄道道路併用橋は、効率的な交通インフラを構築するための有効な手段です。建設コストを削減できるだけでなく、地形的な制約を克服することも可能です。様々なタイプがあり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。今後も、交通需要の増加や都市開発の進展に伴い、鉄道道路併用橋の重要性はますます高まっていくと考えられます。

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