鉛山州

鉛山州の歴史と背景

鉛山州（えんざんしゅう）は、中国においてかつて存在した州で、モンゴル帝国の影響を受けた地域の一つです。この州は、大元ウルスの時代に設けられ、現在の江西省に位置する鉛山県一帯がその範囲でした。鉛山州は、行政的には江浙等処行中書省に属し、同時に華北の恩州とともに、チンギス・カンの庶弟であるベルグテイを始祖とするベルグテイ・ウルスの直轄領でした。

歴史的背景

鉛山州の起源は唐代の鉛山県にまで遡ります。モンゴル帝国の第5代皇帝セチェン・カアン（クビライ）が南宋を征服した後の1281年に、鉛山県に住む18,000戸がベルグテイ王家に授けられました。これにより、鉛山県はベルグテイ家の支配地域となりました。1292年には、上饒県の乾元郷や永楽郷、弋陽県の新政郷や善政郷を統合し、鉛山県は「鉛山州」として昇格しました。この時、鉛山州は元の路には属さず、直接江浙行省に直属することとなりました。

『元史』巻117のベルグテイ伝によると、ベルグテイ王家の領地は鉛山州だけでなく、信州路にも広がっていたとされています。このことから、鉛山州はモンゴル帝国の統治下にあった重要な地域であったことが示唆されます。

明朝の影響

その後、明朝の創設者である朱元璋が即位すると、鉛山州は再び鉛山県として改名され、その存在が変遷しました。明朝時代には、鉛山県の運営や地域の住民生活に大きな影響を及ぼし、地方行政が整備されていきました。

鉛山州の歴史は、モンゴル帝国の観点からも、また明朝の成立以降の変化からも教訓を得ることができます。地域の変遷は、政治や社会構造の変化を反映しており、より広い視野で歴史を考察することが重要です。また、当時の地域住民は、さまざまな文化的・社会的背景を持っていて、これが地域のアイデンティティ形成に寄与しました。

参考文献

• - 植松正著『元代江南政治社会史研究』汲古書院、1997年。
• - 杉山正明著『モンゴル帝国と大元ウルス』京都大学学術出版会、2004年。
• - 村岡倫「元代江南投下領とモンゴリアの遊牧集団」『龍谷紀要』第18巻第2号、1997年。

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