鉢かづき

鉢かづき

「鉢かづき」は、日本の古典「お伽草子」の一つで、鉢をかぶった姫の物語です。この物語は、一般的に「鉢かづき姫」または「鉢かつぎ姫」としても知られています。「かづき」とは、古語で「頭にかぶる」という意味の「かづく」の活用形であり、「かつぐ」とは異なります。現代では「鉢かぶり姫」と表現されることもあります。

物語の概要

昔、河内国交野郡に住む長者、寝屋備中守藤原実高には、長谷観音への祈りが叶い、美しい娘が誕生しました。しかし、母親が亡くなる直前、長谷観音のお告げにより、娘の頭に大きな鉢をかぶせると、鉢が取れなくなってしまいました。

母親の死後、娘（鉢かづき姫）は継母にいじめられ、家を追い出されます。絶望して入水を図りますが、鉢のおかげで溺れずに助けられ、「山蔭三位中将」という公家に拾われ、風呂焚きとして働くことになります。

そこで、中将の四男である「宰相殿御曹司」に見初められ求婚されますが、宰相の母は身分の低い下女との結婚に反対し、他の兄弟の嫁たちとの「嫁くらべ」で姫を諦めさせようとします。

しかし、嫁くらべの前夜、鉢かづき姫の頭の鉢が突然外れ、その下から美しい顔が現れます。さらに、歌や学問にも秀でていることが判明し、姫は非の打ち所がない女性であることが明らかになります。嫁くらべの後、姫は宰相と結婚し、三人の子宝に恵まれ、長谷観音に感謝しながら幸せな生活を送りました。

この物語の舞台となった藤原実高の屋敷は、現在の寝屋川市周辺と考えられており、寝屋川の民話としても紹介されています。寝屋川市のマスコットキャラクター「はちかづきちゃん」は、この物語の主人公である鉢かづき姫がモデルになっています。また、姫の名前は長谷観音にちなんで「初瀬姫」とも呼ばれているそうです。

近年の改変

物語は、姫が若君の元で働くまでの流れはほぼ同じですが、一部の映像作品や絵本では以下の点が変更されています。

鉢が外れる直前、姫を助けた若君が夜中に姫の奏でる琴の音色に惹かれ、姫の正体を見抜きます。二人は親密になりますが、若君の両親は世間体から結婚に反対します。姫は若君の幸せを願い、屋敷を去ろうとしますが、若君は地位を捨ててでも姫と結婚しようとします。怒った父親が姫を斬ろうとした瞬間、頭の鉢が割れて美しい姫が現れ、結婚が認められて物語は終わります。

その後の話

物語には続きがあり、若君の兄嫁たちと美貌や宝物、才覚を競う話や、継母と不仲になり屋敷を出ていた父親との再会が描かれています。

関連項目

お伽草子
鉄面探偵ゲン - 漫画作品。最終回のモチーフに鉢かづきが使われた。
月光条例 - 鉢かづきが登場する漫画作品
継子いじめ譚

外部リンク

鉢かづき姫の物語 - 寝屋川市公式サイト
『鉢かづき』 - コトバンク

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