銀河座標

銀河座標は、天球上の天体の位置を特定するための天球座標系の一種であり、特に銀河系を基準とした座標系です。この座標系は、銀河系の構造や天体の分布を理解する上で重要な役割を果たします。銀河座標では、天球上の位置を表すために、銀緯（galactic latitude: b）と銀経（galactic longitude: l）という2つの角度を使用します。

銀緯

銀緯は、銀河面を基準とした角度で、銀河赤道が0度となります。銀河赤道とは、銀河系内の天体の密度が最も高い平面を天球上に投影したものです。銀河赤道は、可視光観測では暗黒星雲によって隠されている天体も多いため、電波観測によって正確に定められます。この銀河赤道は、天の川の中心線とほぼ一致しています。銀河赤道と天の赤道は、2000年分点で約62度52分の角度を成しています。

銀緯は、銀河赤道から北側を正（+）、南側を負（-）として表されます。銀緯90度の天球上の点のうち、地球から見て北側にある点を銀河北極、南側にある点を銀河南極と呼びます。銀河北極は、B1950.0分点では赤経12h49m、赤緯+27°24'に、J2000.0分点では赤経12h51m26.282s、赤緯+27°07'42.01"に位置します。星座で言うと、銀河北極はかみのけ座、銀河南極はちょうこくしつ座にあります。これらの方向は、円盤状の銀河系内から垂直方向を見ていることになるため、遠方の銀河が銀河系内の天体に隠されずに観測できます。そのため、これらの方向は「宇宙の窓」とも呼ばれています。

銀経

銀経は、銀河赤道上を測る角度で、銀河中心核いて座Aを0度とし、銀河の北極側から見て反時計回りに増加します。銀河中心核を0度として、一周すると360度になります。銀経0度は、1959年に銀河北極に対して北極方向角が123度となる方向と定義されました。これにより、銀経0度、銀緯0度の点は、B1950.0分点では赤経17h42m26.603s、赤緯-28°55'00.445"、J2000.0分点では赤経17h45m37.224s、赤緯-28°56'10.23"に位置します。J2000.0における銀経0度の北極方向角は122.932度です。

銀河円盤内の天体の公転運動は、銀河の北極側から見ると時計回りであり、銀経の値が増加する方向とは逆向きです。この点は、赤経の増加方向と地球の自転方向、黄経の増加方向と地球の公転方向が同じであることとは対照的です。

銀河座標は、銀河系の構造を理解し、天体の位置を正確に把握するために不可欠な座標系です。銀緯と銀経を用いることで、銀河系内の天体の位置関係を明確に表すことができます。また、遠方の銀河を観測する際にも、銀河系の影響を考慮する上で重要な役割を果たします。

関連項目

* 天球座標系

もう一度検索