錦江 (韓国)

錦江（きんこう・クムガン）

錦江は大韓民国中西部を流れる主要な河川であり、韓国における第三の長さを誇る河川です。この川は、古代に百済の都であった忠清南道公州から発し、地元では熊津江または白馬江という名でも知られています。こうした多様な呼称は、地域文化や歴史を深く反映していると言えるでしょう。

地理的な特徴

錦江の源流は、全北特別自治道長水郡の小白山脈に位置する神舞山（897m）です。ここから北流しつつ、いくつかの支流と合流しながら進みます。特に草江、報青川、甲川との交わりがあり、大田の道市境を通過した後、忠清南道燕岐郡の南部で美湖川と接続します。流れは西南へと変わり、韓国有数の穀倉地帯である論山平野を貫流し、最終的には郡山湾を経て黄海に注ぎます。

流域の水系全体の長さは24,900kmに達し、平均標高224m、平均傾斜は17%です。最高の標高は1,609mに達します。ただし、流れの全長は反時計回りに曲がるため、直線距離はわずか90kmであるにもかかわらず、実際の流れはその4倍以上の距離になります。

歴史的重要性

錦江は三国時代において特に重要な水上交通路でした。古都熊津および新都泗沘の存在があり、過去には日本・百済と新羅・唐との戦闘が行われた「白村江の戦い」がこの地域で起こったと推定されています。このような歴史的な背景は、親水的な生活環境とも関連しています。川にまつわる伝説も多く、地域住民の文化にも深く浸透しています。

流域の構成

上流域

上流は、忠清北道永同内の岷周之山東北部から始まります。ここは蛇行が激しく、周囲の山脈に囲まれた美しい渓谷が展開しています。特に茂朱九千洞や永同の陽山八景などは、古くから知られた景勝地で、多くの観光客が訪れます。また、竜潭ダムがこの地域にあり、年間5億トンの生活用水を供給しています。

中流域

中流域では、忠清南道清原の大芚山東斜面に源を持ち、大田広域市に至るまで続きます。ここでは、報青川や甲川などと合流し、ダムによる治水や電力供給の役割も果たしています。特に大清ダムは重要な水源であり、大田の発展に寄与しています。

下流域

下流域では、森林面積が減少し、農地面積が増加しています。河口には錦江河口堰が設けられ、洪水対策や水資源の管理も目的としています。この地域は農業が盛んで、河川の流れの変化は常に地域住民に影響を与えてきました。

主な支流

錦江には、草江（チョガン）、甲川（カプチョン）、報青川（ポチョンチョン）、美湖川（ミホチョン）、論山川（ノンサンチョン）など、多くの支流があります。これらはそれぞれ異なる源を持ち、豊かな水系を形成しています。特に美湖川は、農地への水供給において重要な役割を担っています。

文化の面

「夢見る白馬江」という歌謡曲は、この川の美しさや魅力を詠ったものとして知られています。また、歴史的背景として日本の明治時代初期には長浦江と呼ばれ、国際的にも注目されていました。こうした地域の特性は、今なお多くの人々に愛されている要因の一つです。

錦江は、歴史的な水路としての役割だけでなく、流域住民の生活や文化を支える存在でもあり、その重要性は今後も続いていくでしょう。

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