鍋島茂賢

鍋島茂賢の生涯

鍋島茂賢（なべしま しげまさ）は、元亀2年（1571年）に生まれ、正保2年（1645年）に亡くなった武将です。彼は、戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍し、その名を歴史に刻みました。深堀茂賢、石井茂賢とも呼ばれ、肥前国の戦国大名であった龍造寺氏の家臣として、そして佐賀藩主鍋島家の家老として重要な役割を果たしました。さらに、佐賀藩深堀邑の初代邑主（深堀氏第20代）としても知られています。

生い立ちと少年時代

茂賢は、龍造寺氏の重臣であった石井安芸守信忠の次男として誕生しました。母は大宝院で、佐賀藩初代藩主鍋島勝茂の従姉にあたります。幼少の頃から、彼は「孫六」や「七左衛門」と名乗り、後に「伊豆守」や「安芸守」、「茂忠」とも呼ばれるようになりました。また、系図によっては、龍造寺政家の養子であったとも記されています。少年時代には、神社の本殿を鉄砲で撃ち抜くなど、大胆な悪戯をしていたと伝えられています。

武将としての活躍

茂賢は、武勇に非常に優れており、その豪胆な性格で知られていました。しかし、単なる武人ではなく、頭脳明晰で心優しい一面も持ち合わせていたとされています。父信忠が戦死した後、母大宝院は肥前国俵石城主の深堀純賢に再嫁し、茂賢は母の連れ子として深堀氏の養子となり、深堀氏の名跡を継ぎました。深堀氏は、鎌倉幕府の有力御家人であった三浦氏の子孫にあたる国衆でした。その後、実兄の鍋島茂里や親族と共に、人質として豊臣家に預けられましたが、九州征伐の際には肥前国に帰還しました。

文禄・慶長の役では、養父純賢の陣代として深堀隊を率いて善戦しました。その後、茂賢は養父純賢と共に、鍋島直茂から鍋島姓を授けられ、佐賀藩深堀領6千石を与えられました。関ヶ原の戦いに続く柳川の戦いでは、兄茂里と共に鍋島隊の先鋒を務め、武勲を上げました。

キリスト教への理解

茂賢はキリスト教に対して深い理解を示し、来日していたドミニコ会のスペイン人宣教師アロンソ・デ・メーナ神父と親交を深めました。そして、鍋島勝茂にメーナ神父を引き合わせ、佐賀城下にドミニコ会の教会建設に尽力しました。

死と殉死

正保2年（1645年）、茂賢は生涯を閉じました。彼の墓は、佐賀県佐賀市本庄町鹿子にある大宝山妙玉寺にあります。彼の死に際し、家臣や与力18名が周囲の反対を押し切り殉死し、茂賢夫妻と共に妙玉寺に葬られました。配下の侍たちは、「45年前の柳川の戦いの時、『共に討ち死にしよう』と誓い合ったのだ。あの時の約束を破るわけにはいかない」と語ったと伝えられています。

その他の事柄

実父である石井安芸守信忠の家督と遺領は、実兄の鍋島主水佑茂里が鍋島直茂の養子になったため、茂賢が相続しました。これは、彼の家系における重要な出来事の一つでした。

鍋島茂賢は、武将としての勇猛さと、キリスト教への理解を示すなど、多面的な人物として知られています。彼の生涯は、戦国時代から江戸時代初期にかけての激動の時代を生き抜いた武士の姿を今に伝えています。

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