鍛冶屋町 (高松市)

高松市 鍛冶屋町

香川県高松市の中心部に位置する町、鍛冶屋町（かじやまち）。郵便番号は760-0028です。この町は、高松市役所からほど近い都心エリアに位置し、その地理的特徴として、西側を主要幹線である中央通り、南側を国道11号高松北バイパス、北側を市道三番町築地線に囲まれ、東側は高松を代表する商業地である丸亀町の裏手に接しています。

町域の西部、中央通り沿いには、四国地方における主要企業の拠点やオフィスビルが立ち並び、地域有数の中心業務地区が形成されています。一方、東部には丸亀町グリーンなどの大型商業施設を中心とした賑やかな商業エリアが広がり、その中間の地域には、多種多様な飲食店が密集しており、夜間を中心に多くの人々で賑わいます。町内を東西に横断する市道塩屋町四番町線は、沿道のビル名にちなみ「スミス通り」という愛称で親しまれています。

2015年の国勢調査によると、鍛冶屋町の人口は55人（男性34人、女性21人）、世帯数は43世帯です。面積は約24,585平方メートルで、人口密度は約2,237.1人/平方キロメートルとなっています。町の全域が公立小学校・中学校の校区では、新番丁小学校および紫雲中学校に指定されています。

都市計画法に基づく用途地域は、町全体が商業地域に指定されています。建築物の容積率は、中央通りに面する街区や国道11号高松北バイパス沿いでは600%、その他の地域では500%と定められており、高度な土地利用が図られています。

歴史

鍛冶屋町の大部分は、江戸時代から1958年（昭和33年）まで「南鍛冶屋町」と呼ばれていました。古くから形成されていた職人町の一つであり、町名は職業別集住制のもと、鍛冶職人が集まって住んでいたことに由来するとされています。確認されている最も古い記録は、寛永17年（1640年頃）に作成された高松城下絵図で、「かちや町」としてその名が見られます。

生駒高俊の時代、西嶋八兵衛による香東川の流路変更に伴い、城下への代替給水源として多くの給水施設が整備されました。その一つが、町の南東部（現在の旧北亀井町エリア）に築かれた「亀井戸」と呼ばれる井戸兼貯水池です。東西約18メートル、南北約36メートルの貯水池内にあった湧水孔が甕（かめ）のような形をしていたことから、「甕井（亀井）霊泉」と称されました。松平頼重の時代、正保元年（1644年頃）には、この亀井戸を含む7箇所を水源とする埋設水道が城下に整備され、水の恵みに感謝して亀井戸水神社が建立されました。その後、水質の悪化を受けて1891年（明治24年）には貯水池部分が縮小されています。また、文政5年（1822年頃）には、他国産の紙の入津が禁止されたことで、御国産紙の荷売仲買人が増員されましたが、この中に当町の京屋茂一郎と宮崎屋茂兵衛が含まれており、紙の一手取扱権を得ていたことが記録に残されています。

1890年（明治23年）2月15日、城下町の各町が集まって形成されていた高松の区域に市制が施行され、高松市が誕生しました。南鍛冶屋町もその一部となりました。1897年（明治30年）頃には、煙草商、売薬商、古道具商、家具製造業者、翫弄物（がんぐ・おもちゃ）商など、26種類34戸の商人や職人が営業しており、特に翫弄物商は当時高松市内に5軒あったうちの3軒がこの町にあったとされます。この賑わいを反映して、「舟はどんどん通町、甘いからいは塩屋町、子供だましのかじや町」という俗謡が生まれ、雛祭りの時期には10日ほど人形市が立って大変な賑わいを見せました。

しかし、1945年（昭和20年）7月4日未明の「高松空襲」により、町内全域が完全に焼失するという壊滅的な被害を受けました。空襲で大きな被害を受けた高松市中心部では、戦災復興のための土地区画整理事業が実施され、南鍛冶屋町も全域がその対象となりました。この区画整理事業の完了に伴う換地処分公告は1958年（昭和33年）7月10日に行われ、翌7月11日の地番整理をもって町域が変更されました。この時、南鍛冶屋町の大部分が現在の鍛冶屋町に置き換えられ、一部が紺屋町や丸亀町、御坊町に編入されるとともに、北亀井町や南新町など周辺町丁の一部が新たに鍛冶屋町に編入されました。

2000年代に入り、高松中央商店街の再開発事業の一環として、高松丸亀町商店街G街区の再開発が進行しました。これに伴い、町の南東部には2012年（平成24年）4月19日、大型商業施設「丸亀町グリーン」が開業しました。この再開発に際し、建設地にあった亀井戸水神社は一時的に移転した後、同区画内に新しく建て替えられました。また、亀井戸跡地で行われた発掘調査では、多数の歴史的遺構が出土しており、これらは現在、高松市埋蔵文化財センターに移築・復元され、保存・公開されています。

鍛冶屋町は、その歴史的なルーツである職人町から、戦災復興を経て、現在では高松を代表するビジネス、商業、飲食の拠点へと発展を遂げています。往時の名残と現代都市の機能が融合する、多様な魅力を持つ町と言えるでしょう。

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