鍬台トンネル

鍬台トンネル

鍬台トンネルは、岩手県大船渡市と釜石市の間、三陸鉄道リアス線の吉浜駅と唐丹駅間に位置するトンネルです。全長は3,906メートルで、この地域における鉄道輸送の重要な役割を担っています。

東日本大震災と「奇跡の車両」

2011年3月11日、東北地方太平洋沖地震（東日本大震災）が発生した際、盛発釜石行きの列車（36-105）が、乗客2名を乗せてこのトンネルを走行していました。地震発生直後、南リアス線運行本部からの無線連絡を受け、列車はトンネル内で緊急停車しました。その直後、トンネルと熊木トンネルの間で熊野川に架かる荒川橋梁が津波によって崩落しました。三陸鉄道の運行本部長は、この状況について「もう少し進んでも、遅れてもだめだった」と語り、36-105は「奇跡の車両」と呼ばれるようになりました。運転士と乗客は、停車から約2時間後、約1.5kmを歩いて吉浜駅側へ脱出しました。

当時、南リアス線に所属していた4両の車両のうち、津波の被害を免れたのはこの36-105のみでした。残りの3両（36-104、203、205）は津波による冠水被害を受け、廃車となっています。

震災後の復旧と「キット、ずっと2号」

奇跡的に被災を免れた36-105は、震災から3か月後の2011年6月24日に、当時乗務していた運転士によってトンネルから離れました。その後、2013年4月6日から運行を再開し、2014年6月22日まで「キット、ずっと2号」として桜柄のラッピングが施されて運行されました。「キット、ずっと2号」としてのラストラン後には、一般参加によるラッピング剥がし作業が行われ、参加者はラッピング片を持ち帰りました。

関連項目

あまちゃん：NHKの連続テレビ小説。この「奇跡の車両」が登場することで知られています。
鍬台トンネル (国道45号)：同じ名称の国道トンネルが存在します。


このトンネルは、三陸鉄道の歴史と東日本大震災の記憶を今に伝える、重要な場所となっています。

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