鎌倉年代記

『鎌倉年代記』は、鎌倉時代の歴史を記した年代記であり、元弘元年（1331年）頃に成立したと考えられています。翌年の正慶元年（1332年）の条項と裏書が後から追加されたと見られています。

年代記は寿永2年（1183年）から元弘元年（1331年）までを網羅しており、編者は不明ですが、鎌倉幕府に仕えていた吏員であった可能性が高いです。書物は折本仕立てで、一帖あたり二十六折で構成されています。書名は原本の包紙に由来します。

この年代記は、元々壬生官務家の旧蔵書の一つで、現在は京都大学附属図書館に所蔵されています。鎌倉幕府の要人などが、政務を行う際に過去の出来事を参照するための、携帯用の年表兼ハンドブックとして利用されていたと考えられています。

同様の鎌倉時代の折本形式の年表としては、『武家年代記』や『鎌倉大日記』などが知られています。『鎌倉年代記』は、鎌倉時代後期の鎌倉幕府の動向を知る上で、非常に重要な資料と位置づけられています。

後世には写本や活字本が作成され、それらは『北条九代記』という題名で流布しました。この『北条九代記』は、『鎌倉年代記』の異本とされています。『続群書類従』や『改訂史籍集覧』にも、『北条九代記』の名で収録されています。

『鎌倉年代記』には、『吾妻鏡』には見られない記事も含まれていると指摘されています。また、正安3年（1301年）に地球に接近したハレー彗星に関する記述があることも特筆されます。

主な刊本
近藤瓶城; 近藤圭造 編「北条九代記」『改訂史籍集覧』 5巻（4版）、近藤出版部、1925年
「鎌倉年代記裏書」（『続史料大成18』）臨川書店、1967年
「鎌倉年代記」（竹内理三編『増補続史料大成』別館）臨川書店、1979年
「北条九代記」『続群書類従』第29輯 雑部上 巻855（続群書類従完成会）、1978年
「北条九代記」『改訂史籍集覧』第5冊「通記類」（近藤瓶城編）復刻版、臨川書店、1990年
『鎌倉年代記』学習院大学文学部史学科研究室

関連項目
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