鎧の袖

鎧の袖

鎧の袖（よろいのそで）は、兵庫県美方郡香美町香住区の香住海岸東部に位置する、柱状節理と板状節理からなる壮大な海食崖です。その高さは約65メートル、長さは約200メートルにも及び、傾斜角70度で海面から切り立つようにそびえ立つ姿は、見る者を圧倒します。この独特な景観は、山陰海岸国立公園を代表する景勝地の一つとして、多くの観光客を魅了しています。

形成過程

鎧の袖は、約1,000万年から300万年前の火山活動によって形成されたと考えられています。流紋岩質デイサイトと凝灰岩が冷え固まる際に、柱状節理と板状節理が形成され、その地層を横切るように15の平行な裂罅が走っています。この規則正しく並んだ裂罅の形状が、武士の鎧の草摺（くさずり）を連想させることから、「鎧の袖」という名前が付けられたとされています。

天然記念物

その学術的価値と景観の美しさから、鎧の袖は1938年（昭和13年）5月30日に、国の天然記念物「鎧袖（よろいのそで）」として指定されました。この指定は、この場所が持つ地質学的、自然科学的な重要性を裏付けています。

周辺の景観

鎧の袖周辺には、他にも多くの奇岩や洞門が点在しています。西側にはクジャク洞門が、前面の海上には柱状節理と板状節理からなる鷹の巣島（通称：インディアン島）、蜂の巣島など、無数の奇岩が連なっています。これらの地形は、日本海の荒波によって長い年月をかけて削られて形成されたもので、自然の力強さを感じさせてくれます。

アクセス

鎧の袖へのアクセスは、以下の通りです。

鉄道: 山陰本線香住駅から徒歩約20分
バス: 香住駅から全但バスで「一日市」下車、徒歩すぐの香住漁港・東港香住港から遊覧船「かすみ丸」に乗船

遊覧船からは、海上から鎧の袖の全景を眺めることができ、陸上からとは異なる視点での観光を楽しむことができます。

まとめ

鎧の袖は、地質学的に貴重な地形であると同時に、自然の驚異と美しさを感じられる場所です。山陰海岸国立公園を訪れる際には、ぜひ立ち寄って、この壮大な景色を堪能してください。

関連情報

鎧袖 - 国指定文化財等データベース（文化庁）
但馬情報特急 - 鎧の袖
* 山陰海岸ジオパーク 鎧の袖

もう一度検索