鎮遠 (戦艦)

鎮遠の歴史

鎮遠（Zhenyuan）は、清国海軍の重要な艦艇として知られています。ドイツのフルカン・シュテッティンで建造された甲鉄砲塔艦「定遠級」の一隻であり、同型艦の定遠と共に清国海軍の北洋艦隊に配備されました。日本外務省の記録によると、これらの艦艇は「稀な存在」とされ、その重要性がうかがえます。日清戦争中、鎮遠は日本海軍によって捕獲され、戦利艦として日本海軍に編入されました。

兵装

鎮遠の主砲は、20口径30.5cmの連装砲2基を搭載しており、これにより強力な火力を誇っていました。搭載された砲はドイツのクルップ砲であり、上部露砲塔に設置されていました。なるべく容易に扱えることから、当時のイギリス戦艦が前装砲を用いていたのに対し、その優れた運用性が特筆されます。日本海軍に編入された際には、復旧工事が行われ、艦の中央付近には15cm単装砲が追加されました。

艦歴

艦の起工は1881年に遡ります。1882年に進水し、1885年には竣工しました。その後、1886年には清国北洋艦隊の旗艦である定遠と共に長崎に入港し、上陸した乗員によって騒動が起き、これが長崎事件へと繋がります。

日清戦争では重要な役割を果たしました。1894年9月17日の黄海海戦では、日本の旗艦「松島」に直撃弾を与えるなど活躍しました。しかし、1895年には捕獲される運命を迎えました。その後、3月16日には日本海軍に編入され、艦の役割は大きく変わりました。2598年には二等戦艦に類別され、日露戦争にも参加。黄海海戦や旅順攻略戦、日本海海戦においても活躍しました。

1905年には一等海防艦に類別変更され、1908年には運用術練習艦に指定されますが、1911年に除籍となりました。最終的には1912年に横浜で解体されることが決まり、その歴史に幕を閉じました。

艦長および艦の役割

鎮遠には多くの艦長が在籍し、清国海軍時代から日本海軍時代まで、さまざまな将官が艦を指揮しました。特に、清国海軍時代の艦長林泰曽氏や、日本海軍での艦長松永雄樹氏など、艦の運用に大きく寄与した人物が存在しました。また、この艦には回航委員長や艤装員長も多く、艦の運命を動かしてきたことがわかります。

エピソードおよび遺産

鎮遠が捕獲された際、艦内からは1891年に北洋艦隊が日本を訪れた際の記録が見つかり、この記録は後に水交社の機関誌に掲載されました。また、捕獲後の回航には広瀬武夫が参加し、その動静は注目を集めました。さらに、鎮遠の艦名は今なお多くの歴史書や資料に残され、海軍史における重要な位置を占めています。特に、鎮遠の錨は上野公園の不忍池に展示され、その歴史を物語る大切な遺物として保たれています。

このように、鎮遠は清国海軍から日本海軍に転身した艦艇であり、両国の歴史に重要な役割を果たしました。その存在は今なお日本の海軍史において光り輝くものとなっています。

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