鐘釣温泉

鐘釣温泉（かねつりおんせん）について

鐘釣温泉は、富山県黒部市宇奈月温泉に位置する歴史ある温泉です。通常、鐘釣温泉は「鐘釣温泉旅館」と「鐘釣美山荘」の2軒から成り立っており、それぞれ異なった魅力があります。この地域は中部山岳国立公園に包まれ、立山連峰や後立山連峰に挟まれた美しい黒部峡谷内にあります。

泉質と温泉の特徴

鐘釣温泉の泉質は単純温泉であり、温泉の源泉温度は42.7℃です。また、pH値は8.04で、溶存物質は283mg/kgと、健康に良いとされる成分を含んでいます。温泉の湧出量については、正確な測定がされていないものの、周囲には多くの源泉が存在します。

この温泉には、深さが胸まである露天風呂があり、周辺は整備されています。特に有名なのは、黒部川の河原にある露天風呂で、鐘釣温泉旅館が管理しておりますが、営業時間は一般の観光客にも解放されています。河原には温泉が自然に湧き出ており、温かい場所を掘ることで即席の露天風呂を作ることも可能です。そのため、訪れる観光客は多く、特に女性は水着が必要となる場合が多いです。

また、ここでは野生のニホンザルやカモシカを見かけることもあり、豊かな自然を身近に感じることができます。ただし、鐘釣温泉旅館は河原の温泉を利用するため、内湯の設備は基本的にありません。

歴史的背景

鐘釣温泉の開湯は1819年（文政2年）に遡ります。加賀藩第13代藩主前田慶寧の指示により開湯が行われ、村人が猿の入浴を目撃したことから温泉が発見されたと伝えられています。この温泉は黒部峡谷で最も古い温泉であり、発見当初は5月から10月の期間のみ利用されていました。

道が険しいため、開湯から数年後に閉鎖されることもありましたが、1861年には再開し、その後は片貝谷の村民によって管理が行われてきました。明治時代に賑わいを見せたものの、宇奈月温泉の発展と共に人気は減少しました。

加えて、黒部峡谷鉄道が開通する前は、険しい山道を通る「湯かつぎの道」経由で温泉が利用されていましたが、その後の交通の発展によりルートが変わりました。1946年には行政上の裁判があり、温泉の管轄が内山村に移行され、その後宇奈月町を経て現在の黒部市が管理しています。

1995年には水害により、2つの旅館が被災し、長期の休業を余儀なくされる事態が発生しました。これからも地域の歴史に根づいた温泉地として、多くの訪問者を迎えることでしょう。

アクセス

鐘釣温泉へのアクセスは、黒部峡谷鉄道本線の鐘釣駅で下車するという方法しかありません。運行は5月から10月頃までの期間のみですので、訪問の際は運行スケジュールを確認することをおすすめします。

まとめ

鐘釣温泉は、自然の厳しさと美しさを併せ持つ特別な場所です。歴史的な背景だけでなく、温泉の環境も非常に魅力的で、訪れる人々に独特の体験を提供します。美しい風景と共に、心地よい温泉でリラックスする時間をぜひ楽しんでみてください。

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