長享の乱

長享の乱について

長享の乱は、1487年から1505年にかけて、上杉氏の内部での争いを中心に展開された一連の戦闘を指します。この乱は、関東の上杉家が直面した権力闘争の象徴であり、最終的には伊勢宗瑞（北条早雲）による関東進出のきっかけとなりました。

発端

乱の発端は、上杉顕定（山内上杉家）と上杉定正（扇谷上杉家）との対立にあります。この対立は、享徳の乱の長期化により悪化しました。顕定の重臣である長尾景春が顕定に反抗し、背信行為を起こしたことが加速要因となります。景春の反乱は一時的に鎮圧されましたが、顕定の権威は損なわれ、定正の影響力が増し、これがさらなる対立を招くことになりました。

定正と顕定の不和は、やがて扇谷上杉家内部での不安定な状況を生み出し、特に道灌の暗殺事件は扇谷家に深い動揺をもたらしました。道灌の死後、関東の士族階級における地位の変化を生じ、顕定はかつての優位性を失っていきました。この状況が、顕定の軍事行動を引き起こすきっかけとなりました。

経過

1487年、顕定は先に定正に通じていた長尾房清を討つため、攻撃を開始しました。この年から3年にわたり、両家の間で数回の戦闘が繰り返され、いわゆる「長享三戦」が発生します。特に、実蒔原の戦いや須賀谷原の戦い、高見原の戦いでは、扇谷上杉陣営が顕定軍に勝利しました。この結果、顕定軍は次第に劣勢となっていきました。

また、古河公方との和解が影響し、顕定の軍は脆弱化し内紛状態に陥ります。一方、扇谷上杉家の定正が内政的に不安定であったため、長尾景春の復帰によりさらなる混乱が生じます。1494年には、事情が変化し、定正蓄勢が顕定との関係を修復しようと試みましたが、時既に遅しで大きな進展は得られませんでした。

終結とその後

1505年、顕定はついに定正を降伏させ、長享の乱は終結します。しかし、乱の終息は決して安定した状態をもたらさなかった。顕定が勝利を収めたものの、彼の地位は揺らぎ、次第に伊勢宗瑞らによる圧力が高まります。顕定の弟が自害し、彼の志を受け継いだ養子たちが次々と内紛を引き起こすなど、上杉家同士の争いは再び火花を散らします。

このように長享の乱は、上杉家内の権力争いによって引き起こされた衝突であり、それが数十年後に伊勢氏（後北条氏）が関東の支配権を掌握する契機となるのです。乱によって両上杉家間の均衡は崩壊し、関東の戦国時代の新たな幕開けを告げる結果となりました。

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