長周期彗星

長周期彗星についての解説

長周期彗星とは、公転周期が200年以上の周期彗星や非周期彗星を指します。これに対し、公転周期が200年未満のものは短周期彗星と区別されます。この200年という境界は、彗星の軌道の安定性に基づいています。一般的に、周期が長いほどその軌道は不安定になるため、比較的安定性のある短周期彗星と、明らかに不安定である長周期彗星を分ける基準とされています。また、専門的な文脈では、長周期彗星に非周期彗星を含めた概念で用いることが多いです。

長周期彗星は、軌道長半径が34.20 AU（天文単位）以上の彗星として定義されます。これは、海王星（30.11 AU、165年周期）と冥王星（39.54 AU、250年周期）の間に位置するため、これらの天体とも関連が深いといえます。彗星は軌道離心率（楕円形の程度）が大きいため、遠日点距離は軌道長半径の約2倍近くに達することがあり、通常はエッジワース・カイパーベルト（30～50 AU）よりも外側を周回します。

長周期彗星の命名については、一般的に「C/」で始まり、後に発見年やその他の情報が続く形式となっています。例えば、百武彗星（C/1996 B2）がその一例です。一方で短周期彗星は「P/」で始まり、あるいは特定の登録番号が付与されてnnP/の形式になります。ただし、2回の回帰が既に確認されている彗星に関しては、長周期彗星であってもnnP/で表記されることがあります。このような例には池谷・張彗星（153P、周期367年）が含まれます。

2006年の時点で、約2100個の長周期彗星が発見されており、これは全発見彗星の80%以上を占めています。このため、彗星の大半が長周期彗星であることが分かります。残りは短周期彗星や、軌道が不明な彗星となります。

長周期彗星は、オールトの雲から発生すると考えられています。オールトの雲は、太陽系外縁部に広がる巨大な氷の天体群として知られています。一方で、短周期彗星はエッジワース・カイパーベルトからやってくると言われています。短周期彗星は、過去の回帰回数が非常に多いことから揮発成分がほとんど失われており、比較的大きな彗星は少なくなる傾向があります。その結果、明るく輝く彗星はほとんどが長周期彗星であるという特徴があります。

以上のように、長周期彗星はその特殊な軌道特性や起源、命名規則によって特徴づけられ、彗星研究においても重要な対象となっています。その不安定な軌道と起源から、宇宙の歴史を知る手がかりとしても注目され続けています。

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