長堀川

長堀川：大阪の歴史を刻んだ運河

長堀川は、かつて大阪府大阪市を流れていた運河です。現在は埋め立てられ、長堀通の一部となっていますが、その名は今もなお、交差点や駅、バス停などに残り、人々の記憶に刻まれています。

地理

長堀川は、東横堀川の末吉橋下流から分かれ、西へと流れ、木津川の伯楽橋下流に注いでいました。全長は約2.5km、幅は約30〜40m。途中で西横堀川と交差しており、この交差点から下流は特に西長堀川と呼ばれていました。西横堀川との交差点には、「口」の字型に4つの橋が架けられており、これが四ツ[[橋]]の由来となっています。

長堀川は、上流部では船場（右岸）と島之内（左岸）の境界を、下流部（西長堀川）では下船場（右岸）と堀江（左岸）の境界を成していました。このように、長堀川は地域の文化や経済活動を区切る、重要な役割を担っていたことが分かります。

歴史

『浪華長堀心斎[[橋]]記』によると、長堀川は1622年（元和8年）に、伏見から移住してきた有力な町人たち、三栖清兵衛、池田屋次郎兵衛、伊丹屋平右衛門、岡田新三らによって開削されたとされています。ただし、全くの新設ではなく、元々あった小川を拡幅したと考えられています。特に西長堀川の部分は、1622年以前に既に完成していたという説が有力です。

開削者の一人である岡田新三は、美濃屋心斎と名乗り、長堀川沿いに居を構え、その屋敷の前に架けられた橋が心斎[[橋]]の由来になったと伝えられています。また、開削者の名前は、長堀川沿いの町名として残り、上流から長堀次郎兵衛町、長堀心斎町、長堀平右衛門町、清兵衛町が、1872年（明治5年）の改称まで存在していました。

最上流部付近には、船場側に平野七名家の筆頭である末吉孫左衛門の別邸が、島之内側には大坂銅吹屋の筆頭である泉屋（のちの住友）が本店を構えていました。西長堀川沿いには土佐や阿波などの材木問屋が軒を連ね、鰹座橋付近には土佐藩の蔵屋敷がありました。

年表

1622年（元和8年）：長堀川が開削。
1625年（寛永2年）：開削年について異説あり。
1960年（昭和35年）：西横堀川交点より上流の埋め立て開始。
1964年（昭和39年）：上流部の埋め立て完了、長堀駐車場が設置。
1967年（昭和42年）：西横堀川交点より下流（西長堀川）の埋め立て開始。
1971年（昭和46年）：下流部の埋め立て完了。
1973年（昭和48年）：長堀グリーンプラザ（緑地帯）が設置。

架かっていた橋

長堀川には多くの橋が架かっていました。以下に上流から主な橋の名称を記載します。

安綿橋
（長堀川可動堰）
板屋橋
長堀橋
藤中橋
中橋
三休橋
心斎[[橋]]
新橋
佐野屋橋
炭屋橋
（以降、通称西長堀川）
吉野屋橋
西長堀橋
宇和島橋
西大橋
富田屋橋
問屋橋
白髪橋
新鰹座橋
鰹座橋
玉造橋
洲崎橋

これらの橋の名称は、今も交差点名や地名として残っています。特に心斎[[橋]]は、大阪を代表する繁華街として、広く知られています。

まとめ

長堀川は、かつて大阪の経済と文化を支えた重要な運河でした。現在は埋め立てられてしまいましたが、その歴史は橋の名前や地名に残り、大阪の歴史を語り継いでいます。

参考文献

* 松村博著『大阪の橋』（松籟社）ISBN 9784879840820

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