長尾伸一

長尾伸一について

長尾伸一（ながお しんいち）は、1955年2月18日生まれの日本の経済学史学者です。名古屋大学の名誉教授であり、経済学史、特にスコットランド啓蒙思想や環境問題に関する研究で知られています。

学歴と職歴

長尾氏は愛知県で生まれ、1982年に京都大学経済学部を卒業しました。その後、同大学院に進学し、1987年に博士課程を満期退学しました。滋賀大学経済学部で助手、講師、助教授を経て、1995年に広島大学経済学部助教授に就任しました。

1999年には名古屋大学経済学部助教授となり、2003年には同大学大学院経済学研究科教授に昇進しました。2021年には名古屋大学名誉教授となりました。

研究分野と業績

長尾氏の研究は、経済学史における思想的背景の解明に焦点を当てています。特に、18世紀のスコットランド啓蒙思想、特にニュートン主義が社会思想に与えた影響に関する研究は、高く評価されています。

2001年には、『ニュートン主義とスコットランド啓蒙 不完全な機械の喩』でサントリー学芸賞を受賞しました。この著作は、ニュートン力学が社会思想に与えた影響を詳細に分析し、学術的に高い評価を受けています。また、この業績により、2002年に京都大学から経済学博士号を授与されました。

さらに、長尾氏は環境問題にも関心を持ち、その研究成果を著書や共編著として発表しています。特に、環境政策や持続可能な開発に関する研究は、現代社会における重要な課題に対する深い洞察を提供しています。

著書と論文

長尾氏は、数多くの著書や論文を発表しており、その研究成果は国内外で広く参照されています。

主な著書としては以下のようなものがあります。

『ニュートン主義とスコットランド啓蒙 不完全な機械の喩』(名古屋大学出版会、2001年)
『トマス・リード 実在論・幾何学・ユートピア』(名古屋大学出版会、2004年)
『複数世界の思想史』(名古屋大学出版会、2015年)

また、共編著や翻訳も多数あり、幅広い分野で活躍しています。

『EU経済統合の地域的次元 クロスボーダー・コーペレーションの最前線』(ミネルヴァ書房、2007年)
『徳・商業・文明社会』(京都大学学術出版会、2015年)
『緑の産業革命 資源・エネルギー節約型成長への転換』(昭和堂、2012年)

翻訳書も多数手がけています。

『成功した環境政策 エコロジー的成長の条件』(有斐閣、1998年)
『制度の政治経済学』(木鐸社、2000年)
『地球環境問題の比較政治学 日本・ドイツ・アメリカ』(岩波書店、2007年)
『東アジア資本主義の政治経済学 輸出立国と市場誘動政策』(同文舘出版、2000年)

社会的貢献

長尾氏の研究は、経済学史の分野だけでなく、現代社会の抱える環境問題や経済問題に対する深い洞察を提供しています。彼の学術的な貢献は、今後の社会における持続可能な発展を考える上で、重要な示唆を与えてくれるでしょう。

外部リンク

[名古屋大学]]経済学部・経済学研究科：[長尾 伸一

もう一度検索