長尾寺

四国八十八箇所第八十七番札所 長尾寺

香川県さぬき市長尾西に位置する長尾寺は、四国八十八箇所霊場の第八十七番札所として知られる寺院です。正式名称は補陀洛山観音院といい、本尊は聖観世音菩薩です。

歴史と伝説

寺伝によれば、天平11年（739年）、行基が当地で霊夢を感じ、楊柳の木で聖観音菩薩像を刻み、堂宇に安置したのが始まりとされています。当初は法相宗でしたが、その後、空海（弘法大師）と深い関わりを持つことになります。

『四国偏礼霊場記』（1689年刊）には、聖徳太子創建、本尊は空海作との記述もあります。空海は渡唐前、入唐求法の成功を祈願し、長尾寺で護摩の秘法を修したと伝えられています。この行法に由来する「大会陽福奪い」という行事も、現在も1月7日に続いています。帰国後も空海は伽藍を整え、長尾寺を真言宗に改宗しました。

その後、幾度かの兵火で堂宇を失ったものの、慶長年間（1596～1615年）に生駒氏によって再興、長尾観音寺と呼ばれました。天和元年（1681年）には藩主松平頼常が堂塔を寄進し、讃岐七観音の随一として、天台宗に改宗しています。元禄6年（1693年）には寺領を賜り、現在の「観音院長尾寺」に改称されました。

また、源義経と別れた静御前が、母と共に長尾寺を訪れ、得度したという伝説も残っており、静御前の位牌や剃髪塚が現存しています。

見どころ

境内には、多くの見どころがあります。

山門: 日本三大名門の一つと称される、寛文10年（1670年）建立の山門は、珍しい三つ棟木という工法で知られています。
本堂: 2014年5月18日には、本尊が開帳されました。「一隋音観七」の扁額が外陣の上にかかっています。
大師堂: 大正時代に再建されました。
護摩堂・薬師堂: それぞれ独自の信仰を集める堂宇です。
長尾天満自在天神宮: 1710年建立。平安時代、当寺住持の明印と菅原道真の親交に由来して建立されたと伝えられています。
静御前剃髪塚: 静御前ゆかりの史跡です。
ラジオ塔: 戦前の街頭ラジオで、四国に現存する数少ない貴重なものです。
句碑: 種田山頭火の句碑が3基あります。
厄よけ玉お祓い所: 天満宮の左側にあり、陶器製の玉を石に投げて厄を払うことができます。

仁王門をくぐると正面に本堂、右手に大師堂があります。納経所は本堂左側の本坊にあります。境内には駐車場があり、大型車用の駐車スペースも用意されています。土日には、手作りのおはぎが数量限定で販売されています。

文化財

長尾寺には、多くの文化財が指定されています。

重要文化財: 経幢2基（石造、弘安6年（1283年）、弘安9年（1286年）建立）
さぬき市指定有形文化財: 東門（栗林公園の正門を移築したもの）
香川の保存木:クスノキ

アクセス

鉄道: 琴電長尾線 長尾駅より徒歩約200m
バス: さぬき市コミュニティバス 志度-多和線・市内循環線「東町」または「大川バス本社前」下車　大川バス引田線「大川バス本社前」下車
* 車: 香川県道3号志度山川線 東町、高松自動車道 志度ICより約7km

周辺の寺院

長尾寺の周辺には、玉泉寺、長福寺、霊芝寺、與田寺、釈王寺、田の口薬師、東海寺など、多くの歴史的な寺院があります。これらも合わせて巡ってみるのも良いでしょう。それぞれ独自の特色があり、歴史や文化に触れることができます。

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