長尾能景

長尾能景（ながおよしかげ）

長尾能景は、越後国（現在の新潟県）の戦国大名であり、越後長尾氏の6代目当主です。越後守護代を務め、戦国時代の越後国において重要な役割を果たしました。特に、その子である長尾為景、そして孫にあたる上杉謙信の祖父として、歴史に名を残しています。

生涯

寛正5年（1464年）に、長尾重景の子として生まれます。能景は、越後守護である上杉房定・房能の二代に仕えましたが、房定の死後、越後の実権を掌握するようになります。守護の権力強化を目指す房能とは対立することも多かったものの、表向きは守護代としての立場を維持しました。

永正元年（1504年）には、立河原の戦いで大敗を喫し、危機的な状況にあった房能の実兄、関東管領・上杉顕定を救援するために、関東地方へ出兵します。この出兵で、疲弊していた扇谷上杉家の上杉朝良を攻撃しました。

永正3年（1506年）9月、能景は畠山卜山の要請を受け、一向一揆との戦いのために越中国（現在の富山県）へ出兵しますが、般若野の戦いにおいて戦死します。この戦死は、越中守護代・神保慶宗の裏切りによるものとされています。

書状

1497年に、長尾能景が刈羽郡安田城主であった毛利重広に宛てた書状が現存しており、上越市指定の文化財となっています。この書状は、当時の政治情勢や能景の動向を知る上で貴重な資料です。

人物

長尾能景は、越後国における長尾氏の勢力拡大に大きく貢献した人物として評価されています。守護代として、巧みな政治手腕を発揮し、越後の実権を掌握しました。また、軍事的な才能にも優れており、各地で転戦し、その名を轟かせました。しかし、般若野の戦いでの予期せぬ死は、越後国に大きな影響を与え、その後の戦国時代の趨勢を左右することになります。

参考文献

池亨; 矢田俊文 編『上杉氏年表 : 為景・謙信・景勝』高志書院、2007年3月。
山本信吉「82号 延徳三年長尾能景、上杉房定父子等年齢書出」『正智院文書』吉川弘文館、2004年9月.

もう一度検索