神保慶宗

神保慶宗（じんぼう よしむね/のりむね）

神保慶宗は、日本の戦国時代の武将であり、越中守護代家である神保氏の当主です。父は神保長誠で、子に長職がいます。法名は「大樹宗」です。

生涯

神保慶宗は、越中守護代・神保氏の最盛期を築いた神保長誠の子として生まれました。初名は慶良といい、後に慶宗と改名しています。「慶」の字は、主君である越中守護・畠山尚慶（のち尚順、尚長）から偏諱を受けたものです（弟とされる神保慶明も同様）。

明応7年（1498年）、父・長誠が支援する足利義尹（のち義稙）の上洛に同行しますが、六角氏らに阻まれ、義尹に従って周防の大内氏（大内義興）のもとに滞在します。文亀元年（1501年）に父が亡くなると、内紛を経て神保家の当主となりました。

しかし、永正3年（1506年）3月、突如侵入してきた加賀一向一揆に敗北し、越後守護代の長尾能景を頼ります。能景はこれに応じ、同年8月に越中へ出兵。長尾・神保勢は、婦負郡寒江蓮台寺の戦いで一揆勢を打ち破ります。ところがその後、神保勢は長尾軍に非協力的な態度を取り、続く般若野の戦いで長尾勢は一揆勢に敗北、能景は討ち死にしてしまいます。この事件を、能景の子・為景は慶宗の裏切りによるものとみなし、以後、両家は度々合戦を繰り広げる宿敵となりました。

一方の慶宗は、本願寺坊官の下間氏との婚姻を進めるなどして、一向一揆との和解を図り、守護の畠山氏からの独立を目指す動きを見せます。このため、永正16年（1519年）に守護・畠山尚長（尚順改め）は、同族の能登守護・畠山義総と長尾為景を誘い、尚長の猶子・畠山勝王（畠山義英の子）を主将とする神保慶宗征伐の軍を起こします。慶宗は二上山城（守山城）に籠城し、苦しい戦いを強いられますが、能登畠山軍を急襲して撃退し、窮地を脱します。しかし、翌永正17年（1520年）に再び連合軍の侵攻を受け、新庄の戦いで長尾勢に敗北、敗走中に自刃しました。

永正16年（1519年）には、放生津出身の24世遊行上人である古跡不外の勧めにより、時宗の総本山である相模国藤沢清浄光寺が放生津へ移転されることとなりました。しかし、慶宗自身の自害により、この計画は中止となりました。

神保慶宗は、激動の戦国時代において、越中の地で勢力を拡大しようと奔走しましたが、志半ばで命を落としました。彼の生涯は、戦国時代の武将の苦悩と葛藤を象徴していると言えるでしょう。

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