長岡龍作

長岡龍作氏は、1960年に青森県で生まれ、現在は東北大学の教授として日本美術史、特に仏像に関する研究をされています。父親は長岡新吉氏です。

東北大学文学部を卒業後、同大学院の博士課程を中退されました。その後、東北大学文学部の助手、東京国立文化財研究所の主任研究官を経て、東北大学文学研究科の助教授、そして教授へと進まれました。1995年には、その研究業績が認められ、権威ある國華賞を受賞されています。

長岡氏の研究の中心は、日本の仏像です。飛鳥時代、白鳳時代、天平時代といった、日本の仏教美術が隆盛を極めた時代の仏像を中心に、その造形、背景にある思想、そして人々の祈りとの関わりについて深く掘り下げています。

その研究成果は、数多くの著書として発表されています。

『日本の仏像 飛鳥・白鳳・天平の祈りと美』（中公新書、2009年）
『仏像 祈りと風景』（日本文化私の最新講義 敬文舎、2014年）
『仏教と造形　信仰から考える美術史』（中央公論美術出版、2021年）

これらの著書では、仏像の歴史的背景、美術的特徴、そして信仰の対象としての意味が、豊富な図版とともに解説されています。仏像研究の入門書として、また、より深く仏像の世界を探求するための手引きとして、多くの読者に親しまれています。

また、長岡氏は編著者としても精力的に活動されています。

『極美の国宝仏 国宝広隆寺の仏像』全6冊（松島健監修 責任編集 同朋舎メディアプラン、2002年）
『講座 日本美術史 第4巻　造形の場』編（東京大学出版会、2005年）
『日本美術全集 2 法隆寺と奈良の寺院 飛鳥・奈良時代Ⅰ』責任編集（小学館、2012年）
『機能論 つくる・つかう・つたえる 仏教美術論集5』編（竹林舎、2014年）
『平泉の文化史3 中尊寺の仏教美術－彫刻・絵画・工芸』浅井和春共編（吉川弘文館、2021年）
* 『神像彫刻重要資料集成 第1巻　東日本編』監修（国書刊行会、2021年）

これらの編著書では、仏像だけでなく、日本美術全体の流れの中で仏像を捉え、その意義を明らかにしようと試みています。また、最新の研究成果を踏まえ、多角的な視点から仏像を考察することで、仏像研究のさらなる発展に貢献しています。

長岡氏の研究は、法隆寺金堂釈迦三尊像光背銘や法隆寺金堂薬師如来像光背銘といった、重要な文化財の解釈にも貢献しています。これらの光背銘は、仏像の制作年代や背景を知る上で貴重な資料であり、長岡氏の研究によって、その解釈が深められています。

長岡龍作氏は、日本の仏像研究において、欠かすことのできない存在です。その研究業績は、仏像に関心を持つすべての人々にとって、貴重な知識と深い感動を与えてくれるでしょう。

参考資料として、ISBN 978-4-906822-62-1、および『人事興信録』1995年「長岡新吉」の項が挙げられます。

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