長島城

長島城の歴史と遺構

長島城（ながしまじょう）は、伊勢国桑名郡長島、現在の三重県桑名市長島町に位置していた日本の城です。この城は長島藩の藩庁としても知られ、地域の歴史において重要な役割を果たしました。

起源と発展

長島城の歴史は、寛元3年（1245年）に藤原道家が個人の館を築いたことに始まります。時代が下ると、文明14年（1482年）には北勢四十八家の一員である伊藤重晴が城として再建しました。その後、元亀元年（1570年）になると、一向宗・願証寺の住職である証意の手により、伊藤氏一族が追放され、長島一向一揆の拠点となりました。この一揆は地域の抗争を巻き起こし、後には織田信長によって攻略され、滝川一益の居城に変わりました。

織田政権下の城

賤ヶ岳の戦い後、織田信雄の居城となりますが、1586年の天正地震により天守が甚大な被害を受け、その後清洲城へ移されました。江戸時代に入ると、菅沼氏がこの地に封じられ、長島城は改修されて藩庁として利用されました。しかし、元和7年（1621年）に菅沼氏が移封されると、長島藩は一時的に廃藩となり、長島城も廃城となりました。

再興と明治時代

その後、慶安2年（1649年）に久松松平家の松平康尚が那須藩より1万石を持って入り、長島藩は再興されます。元禄15年（1702年）には、4代将軍家綱の生母の弟の子である増山正利の子・正弥が常陸下館から2万石で移ってきて、以後8代にわたって続きました。この間に城郭は拡張されましたが、残念ながら天守は再建されることはありませんでした。そして、明治5年（1872年）には廃藩置県に伴い廃城となりました。

現在の状況

現在、長島城の跡地は長島中部小学校および長島中学校の敷地として利用されており、遺構の大部分は消失していますが、東側には石垣と堀が一部残されています。特に注目すべきは、大手門が蓮生寺に移築されて現存している点です。一方、奥書院が深行寺に移されたものの、平成5年に建て替えが行われ、現在は存在していません。また、長島中部小学校内には、桑名市に指定された天然記念物の「大松」があり、これは本丸の西南隅にあった樹齢数百年のクロマツです。

長島城は、かつての歴史の証人として地域に根付いた文化財です。訪れる人々は、今もなおこの地に残る跡を辿りながら、数世代にわたる物語を感じ取ることができるでしょう。

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