長崎ブルース

青江三奈の11枚目のシングルとして1968年7月5日にリリースされた「長崎ブルース」は、彼女のキャリアにおける重要なヒット曲の一つです。「池袋の夜」と並び、その名を広く知らしめるきっかけとなりました。作詞は吉川静夫、作曲は渡久地政信、編曲は寺岡真三が手掛けました。シングルにはB面（C/W）として、平山忠夫作詞、渡久地政信作曲、近藤進編曲による「一人になりたい」が収録されています。

セールス
発売当時、ピンキーとキラーズの爆発的なヒット曲「恋の季節」に阻まれる形とはなりましたが、地道に売上を伸ばし、発売から5ヶ月後にはオリコンチャートで最高位となる2位まで上昇しました。オリコン集計による累計売上枚数は76.7万枚を記録し、翌1969年の年間シングルチャートで第10位にランクイン。その後もロングセラーを続け、1998年時点では170万枚を超える売上を達成したとされています。これは、昭和を代表する歌謡曲として多くの人々に愛された証と言えるでしょう。

メディア展開（映画化）
楽曲の大ヒットを受け、東映によって「夜の歌謡シリーズ 長崎ブルース」として映画化されました。1969年4月19日に公開された本作は、「夜の歌謡シリーズ」の第5弾にあたります。東京と長崎を舞台に、色鮮やかなネオンきらめく歓楽街で繰り広げられる男女の愛憎劇が、ヒット曲を背景にリアルに描かれました。カラー、シネマスコープ、上映時間88分で製作されています。

主なスタッフ
企画：園田実彦、吉峰甲子夫
脚本：舟橋和郎
監督：鷹森立一
音楽：伊部晴美

主な出演者
松方弘樹（浜崎史郎）
宮園純子（水野直美）
谷隼人（水野清志）
大原麗子（荻京子）
青江三奈（銀子）
梅宮辰夫（布施）
藤村有弘、曽我町子、白木マリ、西岡慶子、若水ヤエ子、長沢純、人見きよし、曽根晴美、高宮敬二、大泉滉 など

製作背景
企画は園田実彦と吉峰甲子夫、脚本は舟橋和郎、監督は鷹森立一が担当しました。主演は当初、シリーズの中心人物であった梅宮辰夫が務める予定でしたが、不慮の事故による怪我のため降板。当時大映にレンタル移籍していた松方弘樹が急遽代役を務めることとなりました。松方は当時話題となっていたホストクラブを役作りの参考に見学し、主人公であるホスト役を演じました。これはホストを主人公とした初期の映像作品の一つと見られています。梅宮の怪我の影響で、撮影は通常より大幅に短いわずか15日間というタイトなスケジュールで行われました。梅宮自身も怪我を負った役柄として脇役で出演しており、ギプス姿を見せています。また、アクションの多い「不良番長シリーズ」との撮影スケジュール調整も必要となり、その後の公開順にも影響が出ました。映画には青江三奈自身も出演していますが、本人役ではなく役柄を演じています。長崎でのロケも敢行され、思案橋、グラバー邸、崇福寺などで撮影が行われました。封切り時のポスターには、松方弘樹、宮園純子、谷隼人、大原麗子、青江三奈、梅宮辰夫といった6大スターの名前が並び、シリーズのデラックス版として宣伝されました。

同時上映
本作は、高倉健主演、山下耕作監督の「戦後最大の賭場」と同時上映されました。

映像ソフト
2010年5月21日には、東映ビデオよりDVDが発売され、手軽に鑑賞できるようになっています。

その他の展開
楽曲は発売から5年を経た1973年末、第24回NHK紅白歌合戦で青江三奈によって歌唱披露されました。また、多くの歌手にカバーされており、中でも藤圭子が1970年3月にリリースした1stアルバム『新宿の女/“演歌の星”藤圭子のすべて』に収録されたバージョンが知られています。

収録曲
1. 長崎ブルース (3分37秒)
2. 一人になりたい (3分00秒)

関連項目
1968年の音楽
1969年の音楽

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