舟橋和郎

舟橋和郎の生涯と業績

舟橋和郎（ふなはしかずお）は、1919年7月2日に東京府で生まれ、2006年1月15日に亡くなった日本の脚本家です。裕福な家庭に育った彼は、東京帝国大学教授の四男でもありました。母方の祖父は古河財閥の幹部であり、恵まれた環境で成長したことが影響を与えたのかもしれません。

学生時代とキャリアの始まり

彼の人生は1940年代の動乱の中で大きな転機を迎えます。1939年、東京高等学校在学中に治安維持法違反で検挙されると、社会の厳しさを実感しました。1943年には明治大学専門部文科（文芸科）を卒業し、作家としての夢を抱いていました。卒業後、彼は著名な作家菊池寛の秘書を務めるなど、関連する仕事をしながら厳しい時代を乗り越えました。

1944年には大映の企画部に入社するものの、同年に応召されます。戦後復員した後の1946年、初の脚本『彼と彼女は行く』を発表し、これを機に脚本家としての道を歩み始めることになりました。その後はフリーの脚本家として活動を続けます。

代表作と受賞歴

彼のキャリアの中で、1950年に公開された映画『日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声』の脚本によってシナリオ賞を受賞します。以降も数多くの作品を手掛け、その中には『雁の寺』や『兵隊やくざ』シリーズ、『与太郎戦記』シリーズなど、日本映画界において広く名を知られる作品が含まれています。

1970年代以降も、舟橋は幅広いジャンルで脚本を手掛け続け、1991年にはシナリオ功労賞を受賞するまでになりました。これにより彼の脚本家としての地位が揺るぎないものとなったのです。

主な作品一覧

舟橋の代表作は多岐にわたりますが、以下にいくつかの著名な作品を挙げます。

• - きけ、わだつみの声（1950年）
• - 雪夫人絵図（1950年）
• - 軍艦すでに煙なし（1950年）
• - 風にそよぐ葦 後編（1951年、八木保太郎と共作）
• - くちづけ（1957年）
• - 海軍兵学校物語 あゝ江田島（1959年、大映）
• - 雁の寺（1962年）
• - 末は博士か大臣か（1963年）
• - 剣（1964年）
• - 花実のない森（1965年）
• - 続・兵隊やくざ（1965年）
• - おんな番外地シリーズ（1965年～1966年）
• - 喜劇急行列車（1967年）
• - 陸軍中野学校 密命（1967年）
• - 怪談おとし穴（1968年）
• - 与太郎戦記（1969年）

著作

舟橋は脚本家としての活動に留まらず、いくつかの著書も残しています。彼の著書には以下があります。

• - 『兄・舟橋聖一の素顔』近代文芸社（1982年）
• - 『シナリオ作法四十八章』映人社（1985年）
• - 『回想の日本映画黄金期』清水書院（1996年）

舟橋和郎は、その多彩な作品により、日本映画の発展に大いに寄与しました。彼の脚本は、戦後日本の社会や文化を反映し、多くの人々に感動を与えるものでした。

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