長崎高重

長崎高重

長崎高重（ながさき たかしげ）は、鎌倉時代末期に活躍した武将で、北条氏得宗家の被官（御内人）として知られています。父は内管領の長崎高資で、高重はその後継者として重要な役割を担いました。「高重」の名は、主君である北条高時の偏諱（へんき）を受けたものとされています。

生涯

新田義貞の鎌倉攻めでの活躍

元弘3年（1333年）5月、新田義貞が鎌倉に攻め入った際、高重は幕府軍の一員として出陣しました。

『太平記』によれば、高重は桜田貞国らと共に、新田勢を迎え撃つために入間川へ向かいました。幕府軍が劣勢となり敗走する中、長崎勢は奮戦し、その武勇を示しました。

武蔵国での新田軍との戦闘は、昼夜を問わず80回以上にも及んだとされ、高重は常に先陣を切って戦いました。各地で幕府軍が敗北を重ねる中、高重は北条高時に拝謁し、最後の奉公を誓って戦場へ赴きました。

東勝寺合戦と最期

東勝寺合戦において、高重は新田義貞の首を狙うために敵軍に紛れ込みましたが、その企ては見抜かれてしまいます。それでもなお、高重は新田軍に大損害を与え、その猛攻は凄まじかったと伝えられています。

最終的に、高重は北条高時に自害を勧め、自身もまた主君と共に最期を遂げることを決意しました。わずか8騎で高時のもとへ向かい、鎌倉東勝寺で主君・北条高時とともに自害し、その生涯を閉じました。

高重の最期は、主君への忠義を貫いたものとして、後世に語り継がれています。彼の武勇と忠誠心は、鎌倉幕府滅亡という激動の時代において、武士の鑑として称えられています。

長崎氏について

長崎氏は、鎌倉幕府において得宗家（北条氏嫡流）に仕えた御内人の中でも特に有力な一族でした。高重の父である長崎高資は、幕府の内政を担う内管領を務め、一族は幕府の中枢で重要な役割を果たしました。高重自身もその一族の一員として、幕府の滅亡まで忠実に職務を全うしたとされています。

参考文献

森幸夫 著「平・長崎氏の系譜」、安田元久 編『吾妻鏡人名総覧』吉川弘文館、1998年。
細川重男「得宗家執事長崎氏」『鎌倉政権得宗専制論』吉川弘文館、2000年。
森幸夫 著「得宗被官平氏に関する二、三の考察」、北条氏研究会 編『北条時宗の時代』八木書店、2008年。
奥富治久『蒙古合戦と鎌倉幕府の滅亡』吉川弘文館〈動乱の東国史3〉、2012年。

関連項目

長崎氏
長崎町 (東京府)

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