長崎氏

長崎氏について

長崎氏（ながさきし）は、鎌倉時代に北条氏得宗家に仕えていた平氏の一族で、当時の政治で重要な役割を担った御内人です。この一族は桓武平氏に属し、特に平盛綱を祖に持つ家系として知られています。

概要

長崎氏は、北条得宗家の家令である平盛綱から始まりました。盛綱は平清盛の孫、資盛の系統を引いており、鎌倉期に本姓としての平姓とは別に、伊豆国田方郡の長崎郷（現静岡県伊豆の国市）を得て長崎氏を名乗るようになったとされます。彼らは北条得宗家の筆頭身内人として知られ、盛綱の子孫たちは権力をふるい、強い影響力を発揮しました。特に平頼綱やその孫、長崎円喜などは、鎌倉時代後期において将軍家や北条得宗家に勝る権勢を誇りました。

平盛綱の血統については、『尊卑分脈』で資盛の子とされる一方、『系図纂要』では資盛の曾孫となっています。このように、家系に関する解釈は様々であり、どちらの説が有力かは研究者間でも意見が分かれています。しかし、長崎氏は自身が平氏の末裔であることを自覚していたことは確かです。

歴史的背景

平盛綱は北条泰時、経時、時頼といった三代の得宗に仕官しました。彼は承久の乱や伊賀氏事件、宮騒動などにおいても重要な役割を果たし、1234年には泰時の家令となり、御内人の頂点に立ちました。

盛綱の孫である平頼綱も内管領として活躍し、幕府の実権を握りましたが、1293年には北条貞時に襲撃され自害しました。このように、長崎氏は権力抗争の中で危機的な状況に直面することもありました。それに続く長崎円喜とその子長崎高資父子は、幕政において実権を握りましたが、1333年に新田義貞の攻撃により北条氏が崩壊し、一族は自害しています。

室町時代以降、長崎氏の一族は生き残り、現代に至るまでその系統を引いているとされています。また、九州の長崎市の名称にもこの長崎氏が影響を与えたと考えられています。

苗字の変遷

鎌倉時代は、姓に代わって苗字が広まった時期です。これは、北条氏が御家人たちの苗字を用いることで権力関係をより明確にするために導入されたもので、長崎氏もこの流れに従っています。しかし、盛綱や頼綱が生前に長崎の苗字を使用していた記録はなく、長崎氏が長崎郷を領有していたのも彼らの後と考えられています。このため、彼らを「長崎盛綱」「長崎頼綱」と呼ぶことには注意が必要で、一般的には本姓の平氏を称する形で表記されます。

主要人物

長崎氏には、平盛綱や平頼綱を始め、長崎円喜、長崎高資など多くの著名な人物が存在しました。彼らはそれぞれが歴史的な舞台で重要な役割を果たし、長崎氏の名を歴史に刻むこととなりました。また、関連資料に記載される系譜は、研究が進むにつれてその信憑性が見直されています。

このように長崎氏は、鎌倉時代の政治において重要な地位を占めた平氏一族であり、彼らの活動は後の時代にも影響を与えるものでした。

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