長柄 (大阪市)

大阪市北区長柄地区：歴史と文化が織りなす街

大阪市北区の北東部に位置する長柄地区は、長柄西、長柄中、長柄東の3地域から構成され、新淀川と旧淀川（大川）に挟まれた立地にあります。古くからの歴史と、近年の発展が共存する魅力的な地域です。この記事では、長柄地区の地理、歴史、文化、交通について詳細に解説します。

地理と交通

長柄地区は、南側に天神橋六丁目、北側に柴島、東側に毛馬町といった地域に隣接しています。西端には阪急電鉄千里線が南北に通っており、かつては長柄駅が存在していました。現在、最寄りの駅は天神橋筋六丁目駅で、Osaka Metro谷町線、堺筋線、阪急千里線が利用可能です。また、日本一長い商店街として知られる天神橋筋商店街も至近距離にあります。

地区内を東西に貫く城北公園通（旧中津・赤川線）には、大阪シティバスが運行しており、交通の便も良好です。城北公園通から南へ伸びる天満橋筋も、重要な道路として機能しています。

地名由来

「長柄」という地名の由来は、大きく分けて2つの説があります。1つは、「魚の形をした島」という意味で、地域の小学校でも教えられている説です。もう1つは、梵語で「天皇のいる大都」を意味するという説です。いずれも、長柄地区の古くからの歴史と、その地名の由来に関する興味深い解釈です。

歴史

長柄地区は、旧淀川や中津川の沖積作用によって形成された土地です。歴史を紐解くと、推古天皇時代の613年に建造されたとされる長柄橋の存在が『大願寺縁起』に記されています。ただし、淀川の流路は時代とともに変化しており、古代の長柄橋の位置は現在地よりも北にあったと考えられています。

652年には、難波長柄豊碕宮が完成し、「長柄」の地名が用いられました。その後、摂津職の管轄となり、741年には長柄寺が摂津国分寺（金光明四天王護国之寺）に改称されました。都が京都に移ると、摂津国の一地域としてその役割は縮小していきました。

中世には、当地に住む豪族「長柄長者」が栄えたと伝えられています。江戸時代には、大坂の陣の後、徳川氏の領地となり、北長柄村と南長柄村に分かれました。その後、御三卿の田安家領となります。

江戸後期の文人画家、与謝蕪村の句にも「長柄川」が登場することから、この地域が古くから人々の生活と深く関わってきたことが分かります。また、読本作者の上田秋成も当地に関係したという伝承が残されています。

特産物として、毛馬胡瓜とならぶ長柄大根がありましたが、「天満大根」として市場に出回っていたため、一般にはあまり知られていませんでした。明治時代以降は、数度の統治管轄変更を経て、1889年に豊崎村となり、1925年には大阪市に編入、1977年には現行の住居表示が実施されました。その後、北区と大淀区の合区により、現在の北区に属することとなりました。

名跡と主要施設

長柄地区には、歴史を感じさせる数々の名跡が残されています。

鶯塚: 長柄長者の娘と鶯の物語にまつわる伝説の場所。
鶴満寺: 上方落語のネタとしても知られる寺院。俳聖・上島鬼貫のモニュメントも存在します。
長柄八幡宮: 北長柄村の氏神。摂州地車囃子の「長柄流」発祥の地。
南長柄八幡宮: 南長柄村の氏神。「水中八幡宮」とも呼ばれていました。
松野登十郎の墓: 田安徳川家家臣の墓。領民を救おうとした忠義の物語が伝えられています。
長柄国分寺: 現在は長柄地区に所在しませんが、歴史的に重要な寺院です。

その他、大阪市営バス停、城北公園通、天満橋筋、長柄橋、大阪市立豊仁小学校、大阪市立豊崎東小学校、大阪市立新豊崎中学校、大阪市立北斎場、長柄墓地など、多くの施設があります。

まとめ

長柄地区は、歴史と文化が深く根付いた地域です。古くからの地名由来や、数々の名跡、そして現代の生活空間が調和して、独特の雰囲気を醸し出しています。これからも、この地域の歴史と文化が大切に受け継がれていくことを願います。

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