長楽寺 (太田市)

長楽寺（ちょうらくじ）

群馬県太田市世良田町にある天台宗の寺院、長楽寺は、その歴史と文化的な価値から多くの注目を集めています。山号を世良田山と称し、本尊には釈迦如来が祀られています。隣接する世良田東照宮とともに、境内は「新田荘遺跡」の一部として国の史跡に指定されており、歴史的にも重要な場所です。

歴史

長楽寺の創建は1221年（承久3年）に遡ります。世良田義季によって開基され、臨済宗の僧、釈円栄朝を開山として迎えられました。当初より官寺としての扱いを受け、室町時代初期には室町幕府から関東十刹の一つに数えられるなど、その地位は非常に高いものでした。鎌倉時代から江戸時代にかけては、新田家や足利家（鎌倉公方）の帰依を受け、臨済宗関東十刹の中でも特に大きな寺院として発展しました。

宗旨替え

長楽寺は、徳川家の祖とされる世良田義季（得川義季）が創建したという縁から、徳川家の帰依を得ました。江戸時代には、江戸幕府に重用された天台宗の僧、天海によって天台宗に改宗されました。この改宗は、長楽寺の歴史において大きな転換点となりました。

文化財

長楽寺は、数多くの文化財を所蔵しており、その多くが国や群馬県から指定を受けています。

重要文化財

宝塔：鎌倉時代後期（1276年）の建立。台石底面には建治二年十二月廿五日の刻銘があります。昭和36年（1961年）に重要文化財に指定されました。
絹本墨画出山釈迦図 東明慧日賛：南北朝時代の作品。昭和39年（1964年）に重要文化財に指定されています。
紙本墨書長楽寺文書 7巻（115通）：鎌倉時代から室町時代の文書。昭和13年（1938年）に重要文化財に指定されました。

群馬県指定重要文化財

勅使門
三仏堂
太鼓門
絹本墨画淡彩呂洞賓図
絹本墨画月湖観音像
絹本墨画葡萄図 伝・日観筆 双幅
絹本墨画枯木図
紙本墨画蘭図
絹本著色無準師範像
絹本著色牧翁了一像
絹本著色荏柄天神像
絹本著色律台栄宗像
絹本著色慈覚大師像
絹本著色山王曼荼羅図
絹本著色十六羅漢図
紙本墨画三十三観音像
木造伝徳川義季像
木造伝徳川義季夫人像
木造法照禅師月船琛海像
三仏堂三尊仏
紙本墨書永禄日記
普光庵法照禅師月船琛海墓所出土品

これらの文化財は、長楽寺の歴史と文化的な豊かさを物語っています。

記録

長楽寺には、寺の歴史を記録した多くの文書が残されています。

『長楽寺記』：歴代住持の記録。
『禅刹住持籍』：歴代住持の記録。
『灌頂持誦秘録』
『印信総目録』
『長楽寺永禄日記』：住持・賢甫義哲が記した日記で、戦国時代の永禄8年（1565年）の出来事が記録されています。この日記は、当時の仏事や義哲の日常生活、寺領や近在の百姓の動向などが記されており、戦国時代の東国の地域社会を知る上で貴重な史料とされています。

交通

長楽寺は、交通の便も比較的良い場所に位置しています。

自動車：
東北自動車道 館林ICより約50分
関越自動車道 花園ICより約30分
北関東自動車道 伊勢崎インターチェンジより約20分
電車：
JR東日本高崎線 深谷駅よりタクシーで20分
東武伊勢崎線 世良田駅より徒歩15分、太田駅よりタクシーで35分

参考文献

長楽寺に関する研究や資料も多数存在します。

『上野国長楽寺の研究』（尾崎喜左雄著、尾崎先生著書刊行会、1984年）
『史料纂集古文書編 長楽寺文書』（小此木輝之校訂、八木書店、2014年）

関連項目

長楽寺に関連する事項は以下の通りです。

金津氏
世良田東照宮
十刹
関東十刹

外部リンク

世良田山長楽寺
* 群馬県サイトの長楽寺・東照宮の文化財紹介ページ'>長楽寺・東照宮の文化財1（群馬県サイト）

長楽寺は、その歴史的、文化的な価値から、多くの人々にとって訪れる価値のある場所です。その静かで厳かな雰囲気は、訪れる人々に心の安らぎを与えるでしょう。

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